堀江貴文氏がJリーグのデジタル戦略に提言 求められるインタラクティブ性
Jに求められる双方向性
インタラクティブ性の観点から、Jリーグが進めているデジタル戦略について気になることがあります。最近はアメリカのMLSなどを参考にして、サイトのデータ・情報量を増やし、動画も配信するなどコンテンツを充実させて、一定の成果を上げているように思いますが、大事な部分がまだ不十分に感じますね。それがインタラクティブ性です。インターネットの最も大事な特徴の一つですよ。
ビジネス界でも、企業と顧客による双方向のコミュニケーションに基づいてマーケティングを行うことは、今や当たり前に行われていることです。企業が顧客と密接な関係を構築し、情報を取り入れることで市場のトレンドを的確に捉えることができる。消費者の動向を正確に把握し、消費者の満足度を高めるこ とでリピーターを増やしていくということが、企業として成長するために必要なことです。
にもかかわらず、今のJリーグのデジタル戦略の中では、まだそのような取り組みが十分ではないように見えます。おそらくインタラクティブなコミュニティーなどからJリーグに対する批判的な意見が生まれるのではないかという懸念だと思いますが、もしそうだとしたらその考え方はちょっと消極的ですね。
サポーターや潜在的なファンが交流し合ったり、Jリーグについての考えや意見を言えるようなコミュニティーの場は、既存サポーターや潜在ファンのニーズをつかむためにすごく有用だと思いますよ。批判的な意見も含めてそうした情報を分析して、新規ファンを獲得したり、リピーターを増やすこ とにつなげるんだと、ポジティブに捉えてほしいなと思います。
そのためにもJリーグには、本質ともいえるインタラクティブ性をもったデジタル戦略を進めてほしいと思います。
(※1 事業活動における管理業務を円滑に進める手法の一つ。Plan『計画』→Do『実行』→Check『評価』→Act『改善』の4段階を繰り返し、業務を継続的に改善する)
(※2 インタラクティブ…双方向に情報をやりとりすること。デジタルメディアの持つ基本的な機能で、一方的な情報発信ではなく、情報受信側からの応答など、相互に作用し合うことができることを指す)
(サッカーマガジンZONE7月24日発売号掲載)
【了】
堀江貴文=文
text by Takafumi Horie
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images