大迫の“2得点だけではない”別格の輝き 怪我明けのアジア杯初戦で再認識した重要性
トルクメニスタンに苦戦したなか、“不動のCF”が存在価値を示す
日本代表はアジアカップの初戦でトルクメニスタンを相手に苦しみながらも3-2で勝利し、まずはグループリーグ突破に前進する勝ち点3を獲得した。森保一監督が率いるチームとして初めての公式戦で、アジアカップの難しさを痛感させられる形となったが、同時に大迫勇也というFWの存在感と重要性を改めて認識させられた試合でもある。
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後半に大迫が記録した2得点はもちろんのこと、前線でタメて起点になるポストプレー、5バックで守備を固める相手に対しても深い位置を取り、2列目の選手に前を向かせるポジショニング、後ろのディフェンスを助けるために相手のビルドアップを限定する的確な守備など、でん部を痛めて別メニューが続いていた選手とは思えないパフォーマンスでチームを助けた。
象徴的だったのが前半12分に、柴崎岳の浮き球のパスから堂安律がペナルティーエリア内でヘディングシュートを放ったシーン。左サイドバックの長友佑都が左前方の原口元気にパスを出し、そこから原口がダイレクトパスを斜め前に送った。そこでボールを受けた大迫は相手のボランチを自分のところに引きつけて、手前に顔を出した柴崎にパスを出した。大迫が手前に引く間に南野拓実と堂安がゴール前まで出て、柴崎からラストパスを受ける状況を作り出した。
日本は5バックで中央の守備を固めて来たトルクメニスタンに対し、わりと“素直に”中央から細かいコンビネーションで崩そうとした。そのため相手の守備に引っかかり、次第に攻撃が“各駅停車”になっていたが、このシーンのように大迫が効果的に絡んだところからは惜しいシーンも作っており、早い時間帯にゴールが生まれていてもおかしくはなかった。
そして、大迫の存在がさらに効果を発揮したのは後半だ。左サイドハーフの原口がワイドにポジションを取り、インサイドのハーフスペースに長友が顔を出す形を取るようになったなか、ワイドに揺さぶりをかける段階で大迫がくさびの受け手となった。そして最後はゴール前に入り込み、正確なフィニッシュで2得点につなげた。
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河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。