トルクメニスタン戦苦戦の収穫 「先に失点しても負けない」勝者のメンタリティーの礎

トルクメニスタンに苦戦を強いられた日本【写真:©AFC】
トルクメニスタンに苦戦を強いられた日本【写真:©AFC】

強者に対する弱者の戦い方を徹底するトルクメニスタンは予想以上に良いチームだった

 日本にとってアジアカップ初戦となるトルクメニスタン戦が1月9日にUAEのアブダビで行われ、先制点を許しながらもFW大迫勇也の2ゴールとMF堂安律の今大会初ゴールで3-2の逆転勝利を飾り、白星スタートとなった。

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 イランやサウジアラビアのように、4~5ゴール奪っての快勝を期待したファン・サポーターも多かったかもしれない。しかし、日本が苦戦を強いられたのは、FIFAランキング127位のトルクメニスタンが予想以上に好チームだったからだ。

 ゴール前には5人の選手がフラットに並んで守備を固め、その前にボランチ2人とインサイドハーフ2人の計4人がボックス型でバイタルエリアのスペースを埋める。そして1トップのFWバヒト・オラサエドフは虎視眈々とカウンターを狙う。マイボールになるとオラサエドフとインサイドハーフのMFルスラン・ミンガゾフとMFアルスラン・アマノフがフォローし、3人でフィニッシュまで持ち込む力があった。

 さらにボランチのMFアフメト・アタエフとMFレスル・ホジャエフは押し上げるものの、サイドに流れたり前線の3人を追い越したりはしない。前線3人からのバックパスを受けてミドルを狙うからだ。実際、アタエフは強烈なシュートでGK権田修一を脅かした。そして前線の3人がボールをロストすれば、すぐさまプレスに移り日本のカウンターを阻止する。

 強者に対する弱者の戦い方を徹底している様は、ワールドカップ(W杯)予選やコパ・アメリカでブラジルと対戦するコロンビアやパラグアイ、ペルーといった南米の国々を彷彿させた(実際はもっと肉弾戦を仕掛けるなど、ダーティーなプレーも辞さないが)。

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六川 亨

1957年、東京都生まれ。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年に退社後はCALCIO2002、プレミアシップマガジン、サッカーズ、浦和レッズマガジンなどを創刊して編集長を務めた。その傍らフリーの記者としても活動し、W杯や五輪などを取材しつつ、「サッカー戦術ルネッサンス」(アスペクト社)、「ストライカー特別講座」、「7人の外国人監督と191のメッセージ」(いずれも東邦出版)などを刊行。W杯はロシア大会を含め7回取材。現在は雑誌やウェブなど様々な媒体に寄稿している。

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