初戦に比べはるかに進歩した日本。コロンビア戦はボールを辛抱強く動かすこと。
日本対ギリシャ
筆者が書いた試合前のメモは、以下のようなもの。
<日本は、サイドにいかに対人の強い選手を置くか。自陣の深い位置で、できるだけ長い時間ボールを握って、相手に攻めさせる機会を与えないようにしたい。コートジボワール戦の失点を見ると、ギリシャとの相性はあまり良くないはず。0-0で焦れないようにしたい。ゴール前でタイミングよく仕掛ければ、2,3人のコンビネーションで狭いところを割って入っていけるはず。追い越す動きを少なくして無駄なリスクは減らしながら、分厚く攻めたい>
先発が香川選手に代わって大久保選手が右に、岡崎選手が左に入った。この起用が当たる。大久保選手が一人で突破してボールを入れることが出来た。
ロングボールを相手DFラインの裏に初戦よりも頻繁に入れることで、相手のラインを下げることができた。また、バックパスを頻繁に使うことで、ボールを確実に落ち着けながら、相手を引かせることが出来た。
序盤の20分までは、不用意に中盤の中にボールを入れてバランスを失うシーン(例えば長谷部選手のイエローカードのシーン)や中盤を突破されたシーンがあったが、徐々に解消された。サイドに攻撃の起点を作り、サイドでボールを動かすことで、リスクを減らしながら、相手のラインを下げさせることが出来た。ボールに触れなくなったギリシャが焦りだして、ファウルを重ねる。相手ブロックの外でボールを回しながら相手のラインを下げさせることが出来ていた。
ギリシャは、案の定、ブロックを作って待っていたが、20分過ぎぐらいから、日本がブロックの外でうまくサイドを使いながら回し始め、焦れ始めていた。セットプレーは予想通り危険で、10人になってからは、それが唯一の可能性だった。
香川選手の投入で、一度バランスを崩して、ギリシャにそのサイドからコーナーキックなどのチャンスを作られたが、一度左サイドでカウンターのシーンを演出してから、落ち着いた。チームに前に行くきっかけを与えた。
70分ごろ、ギリシャの選手ほぼ全員をペナルティエリア内に押し込んで、低いクロスのクリアミスに対してゲーゲンプレスをしかけ、あわやの部分を作った。個人的には、日本にとって理想的な形ができたと思っている。はっきり言って、日本はこうやってじっくりボールを回していくしか勝ち続けられないチームだと思う。
最後の10分に関しては、完全に押し込んでいた。ここからいかに崩していくか、が課題になる。だが、日本がバルサではないながらも、ペップ時代のバルサも勝てないときはこんな感じだった。最後はクロスを左右から繰り返し入れて、こぼれをいかに押しこむか、という。惜しむらくは、後半終盤のカウンターのシーンをシュートまで繋げたかった。
個人的には、このやり方を突き詰めていくしか無いと思っている。崩しのリスクを追う作業はまずは相手をペナルティエリア内に押し込めてから、という、今日見せたようなポゼッションチームのリスクマネージメントの原則を徹底して欲しい。
トータルで見れば、戦略、戦術的に間違いはなかった。場当たり的だった2006年のワールドカップと違って、将来に繋がる試合になったと思っている。感情的に見れば、残念極まりないが、ロジカルに見ていけば、初戦に比べて、はるかに進歩した戦い方を見せた日本代表を評価したい。