世界最高峰の“二大戦術”が激突 プレミア天王山でマンCを奮い立たせたペップの執念
一瞬たりとも目が離せない好ゲームの勝敗を分けた差
この勝負を分けた奇跡のような幸運の根源はなんだったのか。それは試合後に、目に見えほど精魂使い果たしていた”グアルディオラの執念”だったのではないか。
前半40分にアグエロの先制点が決まったことで、1点を追いかける立場となったリバプールにも火がついた。後半12分にミルナーに代えてファビーニョをピッチへ送り出し、同19分にフィルミーノのダイビングヘッドで同点に追いついた時には、今季の王者となることを宣言するようなオーラがチームから放たれた。試合前にクロップが「ペップを打ち破るには攻める勇気が不可欠だ」と話していたが、その勇気が初めてこの試合で垣間見えた瞬間だった。
サネの2点目が決まった後も、同点を狙うリバプールの押し上げは激しかった。ボールの奪い合いは激しさを増すばかりだった。世界最高峰の技術とクオリティーを誇る両軍選手が、凄まじいばかりにイングランド特有のバトルを繰り広げた。本当に一瞬たりとも、ピッチから目が離せない試合だった。
もちろん中盤選手の、特にファイナルサードに送るパスの精度をはじめとする攻撃的なセンスとクオリティーの差や、DFジョー・ゴメス、DFジョエル・マティプが怪我で戦線離脱し、アグエロの先制点を許した4番手CBロブレンのマークの甘さも敗因として数えることはできる。
しかし今回の試合の明暗は、戦前の勝ち点「7」差の状況が生んだグアルディオラとクロップの勝利への渇望の差が分けたと言わずにいられない。
ただし、この真剣勝負のパフォーマンスで、改めてこの2強が今季のプレミアで抜きん出た存在であることが証明されたのは間違いない。
2月になればCLも再開される。この欧州最高峰の大会との兼ね合いも今季の優勝争いの大きな鍵を握ると思うが、シーズン終盤戦はリバプール、シティがともに連勝を重ねて、とてつもない緊迫感を伴いながら優勝が争われることになりそうだ。
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森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。