“古豪”浦和南OB監督「自分が情けない」と涙 17年ぶり選手権で大敗「いつも1、2回戦…」
東福岡に0-4完敗、出場12度目にして初の初戦敗退
第97回全国高校サッカー選手権は31日、NACK5スタジアム大宮などで1回戦が行われ、17年ぶりに出場した埼玉の古豪、浦和南は東福岡(福岡)に0-4で完敗し、出場12度目にして初めて初戦で姿を消した。
前半1分、1トップを務めるFW佐藤智隆の強烈なシュートがクロスバーを叩いた。その跳ね返りをMF岡田竜哉が飛び込んでヘディングシュートしたが、惜しくもGKの好守に阻まれる。同8分には司令塔のMF大坂悠力の左足ミドルが相手DFに当たり、際どいコースに飛んでゴールインかと思われたが、これもGKに阻止された。
先制機を2度逃したものの、浦和南がはちきれんばかりに躍動し、素晴らしい立ち上がりで約1万2000人の大観衆を大いに沸かせた。しかし序盤はパスミスなどが目立った東福岡が、時間の経過とともに徐々にリズムをつかみ始め、先行された浦和南の勢いはしぼみ、形勢は逆転してしまった。
同16分、右サイドを突破した東福岡FW大森真吾にGKの頭上を破られる先制弾を決められると、同21分には浦和南のDF相馬海音とGK正野友稀の連係ミスからボールを奪われ、大森に無人のゴールに流し込まれた。
母校を率いて6年目の野崎正治監督は、「試合への入り方がとても良かったので逆に嫌な予感がした。1点目はあきらめもつくが、あの2点目がショックだった。あんな失点はしたことがなかったので……」と時折声を詰まらせ、言葉を絞り出すあたりに疲労の色がにじんでいた。
さらに同22分に右サイドを崩されて決定的な3点目を失うと、後半7分には浅い守備ラインの背後を突かれ、堅守を誇るチームとしては屈辱的な4失点目を喫した。東福岡には今夏の高校総体2回戦でもシュートゼロ、0-3で敗れていた。
浦和南は1969年度に2年生エースFW永井良和を擁して高校総体、国民体育大会、高校選手権の3冠を獲得。現日本サッカー協会の田嶋幸三会長がいた75年度には、2度目の優勝を遂げ、首都圏開催に移行した翌年に連覇を達成。野崎監督はこの両大会とも出場し、栄光に包まれたチームの一員としての誇りを持ってプレーし、指導にも当たってきた。
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河野 正
1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。