日本代表DF吉田麻也が得た幸運 “クロップ流”で磨かれる世界レベルの強度
日本代表の戦術とも共通点の多い新監督の下で、さらなる高みへ
本人は「そう言われるのは好きじゃない」と就任会見で語ったが、ハーゼンヒュッテル監督は“オーストリアのクロップ”の異名を持つ。この日はその名にふさわしいハードなプレスをチームに徹底させて、アーセナルから大金星を上げた。吉田が「フィジカル的にこのきつさに慣れること」と話したが、それは奇しくも1年前にサウサンプトンからリバプールに移籍し、練習での走量が「段違いに多い」と驚いたフィルジル・ファン・ダイクのコメントを思い起こさせる。
確かにきつい練習と走る試合を両立してバテない体を作ることが、ユルゲン・クロップ型の“ゲーゲンプレス”戦法を駆使する監督の下で結果を出すための必須条件だろう。
日本代表を率いる森保一新監督も、組織的なプレスとハイテンポのパス回しのサッカーを標榜すると聞く。とすれば、今回の監督交代は、クラブと代表のサッカーが連動するという意味でも、吉田にとってはまたとない幸運だ。
今後はクラブと代表で、確固たる信念とビジョンに溢れる監督の下で己を鍛え直し、30代に突入したばかりの日本代表DFはさらなる進化を遂げるに違いない。
アーセナル戦に続く12月22日の第18節ハダーズフィールドとのアウェー戦にも3-1と快勝。吉田はこの試合にもフル出場。1月のアジアカップを目前にして、監督交代によってクラブの状況が一気に好転した今、吉田自身も気持ちを新たに、さらなる高みへ到達するための大きな一歩を踏み出している。
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(森 昌利 / Masatoshi Mori)
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。