日本はなぜギリシャを崩せなかったのか 10人の集団のほうが強さを発揮するという皮肉
最大の決定機を外した大久保は「最後の最後でバウンドが浮いて……」
前半、少なくとも3つの大きなカウンターを食らったが、日本としては明確な意図に従って試合を進めた。ハーフタイムには、イエローカードを受けていた長谷部に代えて遠藤保仁を投入。後半12分には大迫に代えて、香川をピッチに送り出した。
68%という圧倒的なポゼッション率でゲームを支配しながらも、日本は左サイドの長友からのクロスが本数の割になかなかシュートに結びつかない。むしろ効果的だったのは右サイド、内田のオーバーラップだ。全体が左サイドに片寄っていたため、内田はより相手ゴールに近い位置に走り込むことができ、この動きがビッグチャンスにつながった。
後半23分、この試合で最大のチャンスは内田の動きから生まれた。左サイドの香川からの浮き球のパスに勢い良く走り込んでDFの裏を取ると、折り返したボールにファーサイドから大久保が詰める。「あそこで振り抜いたらもったいない。ボールが浮いていたので振り抜かず、インサイドに当てようと思った。最後の最後でバウンドが浮いて……」。そしてボールは上空へ消えた。
同26分には深く切り込んだ長友の折り返しからゴール前が混戦となり、内田がゴールを狙うが、わずかに枠の外。同38分には本田がスルーしたボールを、内田がフリーでグラウンダーのクロス。ビッグチャンスになりかけたが、ニアサイドに走り込む選手の姿はなく、空砲に。
最後は、ギリシャの選手がピッチ上で寝転んでいた時間に比べて明らかに短い4分のアディショナルタイムが過ぎ去り、試合はスコアレスドローで終わった。
【了】
清水英斗●文 text by Hideto Shimizu
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