元浦和MF鈴木啓太の「ボランチ論」 “水を運ぶ人”が選んだ今季J1で光った3人は?

元日本代表MF鈴木啓太氏【写真:Noriko NAGANO】
元日本代表MF鈴木啓太氏【写真:Noriko NAGANO】

2018年のJ1で光ったボランチを選出、キーワードは「セカンドボール」

 2018年のJ1は川崎フロンターレが連覇を達成し、前半戦に首位を走ったサンフレッチェ広島が2位になった。終盤戦ではガンバ大阪がマークした怒涛の9連勝も話題をさらったが、現役時代に浦和レッズで活躍した元日本代表MF鈴木啓太氏は、ボランチの働きについてこの3チームには象徴的な選手がいたと話す。かつて「水を運ぶ人」と称された男の“ボランチ論”は、「セカンドボール」というキーワードが提示された。

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 現在、Jリーグ全試合を独占中継するDAZNでアンバサダーを務める鈴木氏は、浦和でリーグ優勝やAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇を成し遂げた。また06年から08年にかけて日本代表で27試合に出場。当時のイビチャ・オシム監督から「水を運ぶ人」と呼ばれた鈴木氏は、今季の優勝争いを演じた上位2クラブから若手ボランチの活躍をピックアップしている。

「広島が今シーズン躍進したなかで、稲垣選手が守備範囲の広さや攻撃に絡んでいくプレーで面白さを見せていたと思います。川崎の守田選手も非常に良い働きをしているなかで代表に選ばれました。若い選手の活躍が、Jリーグにとって時代の変わる合図だと感じました」

 広島のMF稲垣祥は日体大を経てヴァンフォーレ甲府に加入し、昨季から広島でプレーする26歳。今季はリーグ戦33試合に出場する大車輪の活躍で、特に前半戦で大きく勝ち点を伸ばした広島の中盤を支えた。一方、川崎のMF守田英正は流通経済大から加入1年目の23歳で、サイドバックでも起用されながらリーグ戦26試合に出場して優勝に貢献。さらには9月11日の国際親善試合コスタリカ戦(3-0)で日本代表デビューも果たしている。

 鈴木氏は、こうした2人の若手ボランチの活躍に目を留めた理由が、自身のプレー経験に基づいていると話す。それは、現役時代に高い危機察知能力で相手のチャンスの芽を摘み、チームを支えてきたからこその目線だ。

「現代サッカーにおけるボランチは守備だけでなく攻撃も求められますが、どうしても見てしまうのは、ボールを触る回数や時間が少ないなかでも、どのようなポジションを取っているか、どうやってゲームを展開させようとするのかが動きの中で見えることですね。そうすると、この選手はいろいろなことを考えてプレーしていると感じます。チームにとって何が必要で、何に気をつけなければいけないかが見えるという意味では、ボールのない時の動き。マイボールなのか、相手ボールなのかにもよりますが、その頭の中が気にしているところです」

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