中島と堂安、プレミア移籍の信憑性は? 噂の2クラブを記者が直撃、感じた“温度差”
ウォルバーハンプトン監督が発した強烈な皮肉 「知らない。これは“噂”じゃない」
筆者も個人的には、プレミアに日本人選手が増えるのは大歓迎である。しかも中島は、森保一監督が率いる日本代表で10番を背負う期待の若手エース。前述したように、ウォルバーハンプトンは“嫁ぎ先”としてかなりの優良クラブであり、ぜひ実現してほしいというのが本音だ。
しかし、ここからは悪いニュース――つまり移籍が実現しないかもしれないというネガティブな要素を書かなくてはならない。
まず、最大の理由から記してしまおう。監督が中島の移籍を完全否定したのだ。これは筆者自身が直接エスピリート・サント監督に質問しており、その時の感触はまさしく「けんもほろろもなかった」と言うしかない厳しいものだった。
以下が、その時のやり取りである。
――英国で中島のウォルバーハンプトン移籍が伝えられたが?
「それは噂。これから1月の移籍期間が近づき、終わるまで、ウチといろいろな選手を結びつける噂がこれからもどんどん出るだろう」
――中島という選手を知っているか?
「知らない。これは“噂”じゃない」
噂と断じるだけならまだしも、最後に中島自体も「知らない」と一蹴。しかも中島を知らないことについて、「これは“噂”じゃない」と強烈な皮肉とも取れる発言がくっついてきた。
筆者はこれまでも何度か、メディア上で噂に上がった日本人選手の移籍の可能性について、相手方の監督に直接取材したことがあるが、これほどきっぱり否定されるのは珍しい。もしも少しでも脈があるなら、移籍後の日本人メディアとの対応も考慮し、ここまで痛烈なコメントはしないものだ。
もちろん、獲得したい選手について語れば、他クラブの関心を引いて競合が生まれるケースもあるし、相手クラブの経営陣が交渉に強気に出てくる材料を与えることにもなる。「そんなに欲しいならこっちの言い値を払え」ということになりかねない。特に前述したサンパイオ会長の発言には、そんなニュアンスが露骨に表れている。
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森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。