中島と堂安、プレミア移籍の信憑性は? 噂の2クラブを記者が直撃、感じた“温度差”
英国在住記者がウォルバーハンプトンとニューカッスルを直接取材
「Do you want to hear the good news, or the bad news, first?」(良い知らせと悪い知らせ、どちらを最初に聞きたいですか?)
これは英国でよく耳にするフレーズである。一つの知らせに良い面と悪い面がある場合に、「どちらから聞きたいか?」と相手に尋ねる。これを健康診断の後に医者から言われたら嫌だなあと思う。
それはさておき、最近、日本での報道が過熱気味である中島翔哉(ポルティモネンセ)のウォルバーハンプトン移籍にもそんな両面がある。
中には悪いニュースから知りたいとおっしゃる読者も大勢いるとは思うが、報道の順序が良いほう、つまり移籍に関してポジティブな情報が先行したので、このコラムでも時系列に沿って、良いニュースから始めることにしたい。
まず、第一に良いと思えること――それは移籍先として浮上したウォルバーハンプトンというクラブの状況だ。これが非常に良い。
元々は1950年代に3度、英1部リーグを制して黄金時代を築いた古豪である。しかし、近年は低迷が続いていた。それが2016年7月のクラブ買収を転機に様変わりする。新オーナーとなった中国の投資会社「復星集団」の潤沢な資金が投入され、昨季はチャンピオンシップ(英2部)で2位カーディフに「9」差をつける勝ち点99を記録し優勝。圧倒的な強さを誇示してプレミアリーグに昇格した。
チームの補強に関しては、クリスティアーノ・ロナウド、ハメス・ロドリゲス、ジエゴ・コスタ、そしてジョゼ・モウリーニョらを顧客とし、欧州では“スーパー・エージェント”と呼ばれる代理人ジョルジュ・メンデスがフットボールディレクター(補強最高責任者)さながらの働きを見せている。監督のヌーノ・エスピリート・サントをはじめ、イバン・カバレイロ、エウデル・コスタ、ディオゴ・ジョッタ、ジョアン・モウティーニョといった将来有望な若手から一線級まで、母国ポルトガルからかき集めた。
ただしこのメンデスの関与は、特定の代理人がクラブに強い影響力を持つことを禁じたFA(イングランドサッカー協会)規約に触れるのではないかという意見もある。だが、ここではウォルバーハンプトンを改革したポジティブな要因の一つとして記述しておく。
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森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。