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鹿島がレアルに本気で挑み見えたもの 涙の19歳安部が体感した「プレー強度の差」
クラブW杯準決勝で1-3と完敗、時間の経過とともに鹿島の足が止まる
FIFAクラブワールドカップ(W杯)準決勝で、欧州王者レアル・マドリードに1-3と完敗した試合後、号泣した鹿島アントラーズの19歳MF安部裕葵は試合の状況を次のように振り返った。
「前半の30分ぐらいで、強度の違いは感じました。自分のコンディションは全然悪くないと思っていたので。でも自分の息が上がっていることに気づいて、絶対に相手の強度、パススピード、展開のスピード、判断の全部が早いので、僕たちも筋肉を使ってたくさん息をしてというプレーだったので、気づきましたね」
この試合で鹿島の足が止まった理由については、複合的な理由がありそうだ。体力的な疲労もそうだし、迂闊にボールを出したら取られる、足を出したらかわされるといったピッチ上ならではの感覚の積み重ねかもしれない。
レアル側が立ち上がりは手探りで、鹿島の出方を観察していたことは明らかだった。実際に試合途中から中盤の構成を変えてきており、ルカ・モドリッチ、トニ・クロース、マルコス・ジョレンテの3人が中盤をはめてからは、それまでかなりボールを持って起点になっていた鹿島のレオ・シルバや永木亮太もなかなか保持できなくなり、前線の土居聖真やセルジーニョが下がってもらわないと、攻撃すらできなくなっていた。
逆にレアルの攻撃になれば取りに行くとかわされ、その背後を突かれるというシーンが繰り返されるようになり、前半20分過ぎから徐々にペースを握られ、同44分にベイルの先制ゴールが入る頃には完全にレアルの試合になっていた。
それでも後半の途中まで鹿島は動いてはいたし、なんとか相手の強度についていこうとする姿勢はプレーに表れていた。そこからミスで2点目を失い、さらにベイルにハットトリックを決められた頃には、チーム全体からダイナミズムが失われていた。
その理由は心身の複合的な理由であるはずだが、冒頭の安部の話に出た“強度の違い”というのが90分の時間が経つにつれて、どんどん差になって表れていくという感覚は、スタジアムで観ているなかでも受け取れるものだった。
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河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。