CL16強を呼び込んだリバプールの「ストーミング」 ナポリの策を封じた戦術とは?
「ポジショナルプレー対ストーミング」という戦術の図式
ナポリは攻守でフォーメーションを変化させる可変式で主導権を握り、ゲームをスローダウンさせ、リバプールが間延びした隙を突くはずだった。徐々に勢いを削ぎ落とせば、チャンスはあったと思う。しかし、リバプールの運動量とハイテンポのプレーがナポリの策を呑み込んだ。
「ポジショナルプレー対ストーミング」という戦術の図式で言えば、今回はナポリのポジショナルプレーをリバプールのストーミング(急襲)が一蹴したと言える。
ポジショナルプレーには時間の概念が入っていない。ポジション変化による位置的優位は、リバプールの速さの前に優位性を失っていた。リバプールの速さを上回るのは、位置的優位性よりも技術である。技術の精度があれば、走るスピードはボールに追いつけない。ただ、テクニカルなパスワークに定評のあるナポリでダメなら、アンフィールドでリバプールを粉砕できそうなチームは、現状でバルセロナぐらいかもしれない。
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(西部謙司 / Kenji Nishibe)
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。