大久保の鋭い動き出しを生かせず。今大会で初先発した今野は「悔いが残る」と唇をかむ
この日、今大会初先発となったDF今野泰幸は、最終ラインで体を張って無失点に貢献した。しかし、1人少なくなったギリシャに対し、「相手が守りに入ってきて、僕らの仕事はカウンター対策だけだった。あとは前に『何とかしてくれ』と祈るような気持ちでした」というその思いは通じず。堅守を誇るギリシャの前に、いたずらに時間だけが過ぎていった。
「(相手の守備を崩そうと)工夫もしたし、中央、サイドと攻めたけど、最後のラスト(パス)がどうしても合わなかった。相手の方がいいポジションを取っていた。クロスもピンポイントで合わせれば決められると思うし、今日はそこの精度や運もなかったと思う」
そんな展開の中でも、ある選手の動き出しの良さは、前半から際立っていたという。
「僕らの左サイドからチャンスをつくれていた。オカ(岡崎慎司)、(本田)圭佑、サコ(大迫勇也)は見えていたんだけど、(大久保)嘉人のところが…」。ベンチで見守っていた選手たちからも声が飛んでいた。「嘉人のところが、すごく空いてる」。
事実、大久保にボールが渡った場面は数える程度だったが、この試合で最大の決定機を得たのも背番号「13」だった。後半23分、交代出場した香川真司が右サイドへ展開し、抜け出した内田篤人が中央に折り返す。そこに大久保が走り込んで合わせたが、シュートは枠をそれていった。今野の口からは、後悔の言葉がこぼれた。
「そこ(大久保)をもっと見ていたら、展開も変わっていたのかなと。そこは悔いが残る」
鋭い動き出しでマークを巧みに外す大久保との連係がもっと深まっていれば。もっと試合数をこなすことができていれば。昨季Jリーグ得点王の決定力を生かせれば、日本に歓喜を起こすことができたはずだ。全ては結果論だが、悔いの残るスコアレスドローにはならなかったのかもしれない。
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
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