岡崎慎司、日本代表への尽きない情熱 レスターの”1トップ”で示した稀有な才能
代表ウィーク中の練習で得た手応え 「自分でも動けているなと…」
そんな「1トップで今季初先発」という喜びと、「監督の構想外だと思っていたのになぜここで突然」という疑問が交錯した思いの中で、キックオフの笛が鳴り響いた。レスターのフォーメーションは予想通りの4-2-3-1。そして夢でも幻でもなく、その1トップで岡崎が躍動していた。
ところが岡崎にとって不運だったのは、この試合でアシスト役になるはずだったマディソンが前半26分、28分と続けざまに2枚のイエローカードを受け、あっという間に退場させられてしまったことだ。しかも前半15分に1点を失うという展開。まだ残り時間が62分もある段階でレスターは10人での戦いを強いられ、相棒を失った形となった岡崎はその後、ただひたすら走りまくる試合をするしかなかった。
しかし、前半アディショナルタイムに凄まじい気合いで押し上げ、右足でオンターゲットのシュートを放つと、岡崎は「俺はまだまだここでやれる」と主張しているかのように、その存在感をプレミアのピッチ上で示した。
後半25分にベンチに下がるまでの70分間の激闘後、真っ先に先発出場の理由を岡崎に尋ねると、日本人ストライカーは次のように語った。
「ちょうどヴァーディが怪我明けで、イヘアナチョも代表に行って疲れが残っていたということもあったと思います。ただ、練習で良かったんですよ。代表ウィーク中の練習です。そこでマディソンとコンビを組んで、それが良かった。自分でも動けているなと手応えはありました。そこを監督が見ていてくれていたと思います」
夏の移籍期間中に強力なチーム内ライバルが加入し、故障箇所も癒えず、先発から外され続ければ誰だって腐りそうなものだ。しかも岡崎は32歳。年齢的にもベテランの域に入り、そこで戦力外の扱いを受ければ、選手の気持ちは監督、そしてチームからも離れてしまうことがままある。ところが岡崎はそんな状況で練習に打ち込み、自らの状況を変えたというのだ。しかも、話はこう続く。
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森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。