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王者ユベントスの5連覇への死角 中盤に不在となった「カッティヴィスタ」とは
ファウルで流れを引き寄せる「プロフェッショナルのヒール」がいない
イタリアにおけるこのタイプの選手の典型としては、元イタリア代表MFのジェンナーロ・ガットゥーゾが思い浮かぶ。確かに昨季のユベントスでは、ビダルがそのような仕事を一手に引き受けていた感がある。イエローカードも多かったが、その考え方の是非は脇に置いて、イタリアでは選手に対して、警告を受けるようなファウルも試合中に一度与えられた権利と捉えられる向きもあるため、カードの多さが評価の低さにつながることはあまりない。
ライバルクラブを見渡せば、インテルには新加入の元ブラジル代表MFフェリペ・メロとチリ代表MFガリー・メデルがいる。フィオレンティーナはスペイン代表MFマリオ・スアレスを補強。ナポリもMFアランを獲得した。ミランには元オランダ代表MFナイジェル・デヨングがいて、ラツィオもビッグクラブから興味を示されていたアルゼンチン代表MFルーカス・ビリアを手元に残した。ユベントスも、ビダルを手元に残すか彼らのような選手を補強すべきだったと分析している。
ユベントスはアントニオ・コンテ前監督をして「勝利への鋼の意志を示さなくてはいけない」というコンセプトの下でプレーし、連覇を続けてきた。アッレグリ監督はより美しいサッカーを展開するチームを作り上げようとしているが、それでシーズンを戦い抜く余裕があるのかと、ガゼッタ紙は疑問を呈している。
リーグ5連覇へ向けて黄色信号が点灯するようなスタートを切ったユベントスだが、連綿と受け継がれてきた勝利への意志をピッチで示すことができるのだろうか。求められているのは、チームを輝かせるために自らが悪者になることを厭わない「カッティヴィスタ」の出現なのかもしれない。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images