ハリル体制初ゴールも浮かない表情の香川 ドルトムントの輝きを日本代表で放つには
約8か月ぶりの代表ゴールも不完全燃焼
ロシア・ワールドカップに向けたアジア二次予選のカンボジア戦でゴールを決めても香川真司(ドルトムント)の顔に笑顔はなかった。香川は圧倒的に押し込む展開の中、後半16分に混戦で足元に零れたボールを右足で丁寧に流し込んだ。これが、日本代表としてはハビエル・アギーレ監督の指揮下で臨んだ1月のアジアカップ・ヨルダン戦以来、約8ヵ月ぶりのゴール。バヒド・ハリルホジッチ監督の体制下では初ゴールになった。
「前半、絶対に決めなきゃいけないシュートを外していたのでとりあえず良かったです」
前半42分、香川は左サイドの長友佑都(インテル)のクロスから無人のゴールに流し込むだけという状況を迎えたが、シュートがヒットせず、この決定的チャンスを逃していた。圧倒的にゲームを支配しながら得点を奪ず、チームの足を引っ張ってしまったと自らの力不足を嘆いた。それだけに、久々のゴールが決まったことには安堵したが、反省の弁が口から出続けた。
「自分のミスなので、絶対に決めなければいけない。それが決まっていればもっと楽に試合を運べた」
再三チャンスに絡んだ香川だったが「最後の精度が悪かった」と、この試合を振り返っている。今季、所属のドルトムントで新境地を開きつつあるインサイドハーフでスタメン出場すると、積極的にゴール前に顔を出した。香川に限らず日本の攻撃陣はワン・ツーあり、ドリブルありと仕掛ける動きは多彩だった。ミドルシュートも積極的に放ったが、最後の最後、ゴールが決まるかどうかという局面でことごとく意図したところにシュートが飛ばなかった。
8日にはすぐにアウェーでの試合が控えている。相手は、この試合の直前に発表されたFIFAランキングで130位のアフガニスタン。同57位の日本に比べれば、カンボジア(180位)同様に格下の相手なだけに、引き続き守備を固めてくる戦いが予想される。「相手は10人くらいがペナルティエリア内にいました。その中でどうやって崩すのかというのが次の課題かと思います。まだまだ精度を上げていかなければいけない。もっとチャンスはあったので次の試合に向けて修正していきたい」と、アジアを戦う上での定番となった引いた相手との戦いを見据えていた。
所属のドルトムントでは、今季の公式戦7試合4得点と絶好調を維持する香川。背番号「10」を背負うブルーのユニフォーム姿でも、ドイツで見せるまばゆい輝きを放ちたい。そのためにも、得点を取るリズムに乗ってしまいたい。後から振り返れば、この日の1ゴールが大きかったとなれば、不完全燃焼の中で決めたゴールに大きな意味が生まれる。香川がドイツでプレーするのと同じかそれ以上に輝くこと。それは、ハリルジャパンの攻撃力を一段階上のステージへと導くはずだ。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images