ミランで評価される自己管理の賜物 ミドル弾の本田が示したもの
カンボジア戦で代表通算30得点目
まさに千両役者ここにありといった風景だった。3日のロシアワールドカップアジア2次予選のカンボジア戦、前半28分に本田圭佑(ACミラン)が得意の左足で先制のミドルシュートを決めた。2次予選で日本代表の初ゴールを挙げると同時に、3-0勝利を大きく引き寄せる一撃になった。
立ち上がりから攻め続けたハリルジャパンだが、FIFAランク180位のカンボジア相手にフィニッシュの精度を欠いた。ビッグチャンスを迎えてはシュートが枠を捉えない繰り返しに、ベンチのバヒド・ハリルホジッチ監督も大きなアクションで苛立ちを露わにした。今予選の初戦となった6月のシンガポール戦も、同じ埼玉スタジアムで圧倒的に攻め込みながらスコアレスドロー。前半も半分が過ぎ、同じ情景が繰り返された。嫌な記憶が頭に浮かび始めてきた時間帯だった。
停滞ムードを本田が一撃で吹き飛ばした。「慌てずチームとしてやっていこうという話だったが、思った以上にカンボジアの選手も頑張っていたし、それに苦しんだ印象はある」と振り返った男はペナルティエリアすぐ外側のやや右サイドでボールを受けると、得意の左足を振り抜いた。
「前があいていたので、打ってみようと思った。コースはあまり良くなかったんですけど、いい感じで入って良かったです」
無回転で伸び上がるような弾丸ミドル。自身の言うとおりコースは甘く相手GKの真正面を突いたが、両手を弾き飛ばしてゴールに突き刺さった。これが、本田にとって6月11日の親善試合イラク戦以来、記念すべき代表30得点目になった。チームはその後、2点を追加して、きっちりと勝ち点3を手にした。その結果に対しては「勝利という点では納得できる」とうなずいたが、38本のシュートを放ちながら3得点。「もう少し質の高いプレーを見せたかった」と満足感を見せなかった。