新時代の「3-4-3」が誕生? マンCの“偽SB”や“ハーフスペース”を封じたリヨンの守備
![[図3-1]シティのシルバにパスが入ると、リヨン3バック右のデナイヤーが前進して止める【図:著者提供】](https://www.football-zone.net/wp-content/uploads/2018/11/7105d70c8e4fb36b53e03aefc78ee2d5.png)
ボランチ横の“弱点”をカバーした守備時の連動した動き
まず、自陣深くでボランチ横のスペースに入られたケースでは、3バックの一人が前へ出て対処した。シティは左インサイドハーフのダビド・シルバ、左ウイングのレロイ・サネによる連係を使った崩しを得意としているが、シルバにパスが入った時点で3バック右のジェイソン・デナイヤーが前進して止める(図3-1)。
![[図3-2]次にボランチのエンドンベレが横にスライドし、シティのアタッカーをサイドへ封じ込める【図:著者提供】](https://www.football-zone.net/wp-content/uploads/2018/11/5dc4163b6dabb4985f09b21bd35042ee.png)
さらにボランチのタンギ・エンドンベレが局面に加わって、シティのアタッカーをサイドへ封じ込める(図3-2)。5バックの横スライドなので、サネのドリブルに対しても、シルバのインナーラップに対しても分厚く守れていた。
![[図4-1]シティの左SBジンチェンコは中へ絞らず、タッチライン際に開けばパスを受けることはできる【図:著者提供】](https://www.football-zone.net/wp-content/uploads/2018/11/5bf7a8cba4d432cb0aba2ca89422d8a1.png)
もう一つ、シティのサイドバックが中へ寄らずに外へ開けば、フリーでパスを受けて攻撃の起点になることができるのだが、それはシティにとってあまり都合が良くない。例えば、シティの左サイドバックを務めたオレクサンドル・ジンチェンコは、エンドンベレの横に空いているスペースでパスを受けることはできる(図4-1)。
![[図4-2]実際にはリヨンの右ウイングを務めるコルネが下がって対応するため、ジンチェンコからサネへのパスコースは消される【図:著者提供】](https://www.football-zone.net/wp-content/uploads/2018/11/24ed3ec0bc5b8a6aef89ddc3bc8893b4.png)
しかし、実際にはコルネがジンチェンコをマークするので、ここで受けてしまうとサネへパスを送ることが難しい(図4-2)。そもそもシティが「偽サイドバック」を使っているのは、ウイングへボールを供給したいからであって、自らウイングへパスが入りにくい形は作りたくない。
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。