カルチョの国に刻まれた時を超える魔法の左足 俊輔のFK弾がイタリアで話題に
レッジョ・カラブリアに残る輝きと苦難
横浜Fマリノスの元日本代表MF中村俊輔は、8月29日のホーム浦和レッズ戦で芸術的な直接FKを決めた。2002年から3シーズン戦ったイタリアでもその輝きが絶賛されている。中村が、かつて活躍したレッジーナの本拠地レッジョ・カラブリアの地元紙「イル・コティディアーノ・スッド」が「元レッジーナのナカムラ、37歳にして珠玉」と特集している。
2002年のフランスワールドカップで最終メンバーから落選した中村は、当時世界最高峰のリーグだったイタリア・セリエAへと渡った。ブーツ型したイタリアのつま先に当たる海峡を隔て、目の前には雄大なシチリア島を望むレッジョ・カラブリアという南部の町で背番号「10」を付けた。毎シーズン開幕前にセリエA残留を目標とする小さなクラブで伝説のファンタジスタにちなみ、中村は「東洋のバッジョ」と称された。そして、3年連続のセリエA残留を置き土産に、グラスゴーへ旅立った。
10年以上の時を超えて、なお輝きを放つレフティはこう評されている。
「カラブリアの人間とイタリアサッカー界は、この37歳が彼の特技とともにパフォーマンスを発揮することを知っている。浦和レッズとの試合では、左足の魔法のおかげでホームのチームはリードすることができた。多くの困難にもかかわらず、レッジーナのサポーターも記憶している魔法だ」
当時世界最高のタレントを擁し、最強リーグとも呼ばれたセリエAで残留を目標にする中堅以下のクラブは攻撃よりも守備に重きを置いた。ポゼッションよりも、カウンター志向に傾くクラブが大半だった。ボールはしばし、オン・ザ・ボールで才能を発揮するファンタジスタの頭上を通過した。
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