広島MF森﨑和幸、引退セレモニーで涙なき理由は? チームに求めた「勝者のメンタリティー」
名古屋戦の後半19分からピッチへ 正確なパスで流れを変えるもホーム最終戦は黒星
サンフレッチェ広島のMF森﨑和幸は24日、J1リーグ第33節名古屋グランパス戦後(1-2)に現役引退セレモニーを行った。ビハインドの状況でピッチに立ち、勝利を追い求めてチームを牽引するなど、改めて存在の大きさを感じさせたが、「勝者のメンタリティーを取り戻してほしい」とチームにメッセージを送った。
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広島は前半36分にMF柏好文の一撃で先制したが、わずか3分後に名古屋FWジョーの技ありゴールで同点に追いつかれ、前半終了間際には勝ち越しを許してしまった。森﨑は後半19分、最初の交代カードとしてピッチに立つと、次々とボールを受けてはチームメートに正確なパスを供給。反撃ムードを作ったが、守りを固める名古屋のゴールをこじ開けることができず、現役最後のホームゲームは1-2で敗戦となった。
試合前の入場シーンでは、バックスタンドに森﨑の背番号「8」のコレオが浮かび上がり、「若干ウルっときた」というが、試合後の現役引退セレモニーではほとんど涙はなかった。その理由に、森﨑の選手としてのプライドがにじみ出る。
「試合が終わった後に涙が少し出るかなと思ったけど、それよりも試合に負けた悔しさのほうが大きかった。ただ単に、セレモニーのためにメンバーに入ったつもりはなかったですから。個人というよりも、僕がこだわっていたのはチームの勝利なので、そこは結果的にできなかった。限界だったかなと思います」
ボールが自然と森﨑の元に集まっていく様子は、改めて影響力の大きさを感じさせたが、本人は「スペースが空いていたので、そこにパスを出しただけ」と冷静に語る。
最終節の北海道コンサドーレ札幌戦は、来季のAFCチャンピオンズリーグ出場権を手にするうえで負けられない戦いになる。自身にとって現役最後のゲームとなるが、森﨑はリーグ戦6連敗中のチームにメッセージを送る。
「勝者のメンタリティーを、まずはもう一度取り戻してほしい。優勝してそこが一番変われた。僕らは結果で評価される世界。なんとかもう1試合あるので、チームが2位を確定させるために力になれればいいなと思います」
森﨑は現役最後の瞬間まで、自身の全てをチームの勝利のために注ぐ。
(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)