「勝者のオーラが見える」と称えたのは? 日本代表「キルギス戦出場17人」を金田喜稔が評価

室屋成(左)、山中亮輔(右)【写真:Getty Images】
室屋成(左)、山中亮輔(右)【写真:Getty Images】

現代表のサイドバックに求められる「攻撃参加のタイミングと精度」

<DF>
■室屋 成(FC東京)=B

 フィジカル能力の高さはこの試合でも証明し、献身的にアップダウンをして堅実にこなした。無失点に貢献した一方、攻撃参加の部分では何本かボールを上げるシーンを作ったが合っていない。現在の日本代表は、両サイドハーフの選手が5メートル中央に絞ってプレーしている。空いたタッチライン際のスペースは、どちらかというと両サイドバックが前に出て使うケースが多い。右サイドハーフで言えば、堂安に比べて伊東のほうが外に張るシーンは多いが、彼も意識的に中寄りにポジションを取らされている印象がある。前線の4人が縦横の距離感を縮め、トップにボールが収まった瞬間に連動して相手を攻略する。そうした狙いがあるからこそ、ワイドのスペースはサイドバックが気を利かせて、どのタイミングで飛び出し、最後にどれだけ精度の高い仕事ができるかが、アジアカップでも求められてくるだろう。

■三浦弦太(G大阪)=B

 取り消された“幻のゴール”は残念だったが、前半に相手が5-4-1となってラインを下げた時、最終ラインの選手がかなり速いパス回しでサイドを変えながらパスコースを探っていたなかで、三浦は前に持ち出しながら何かできるという可能性を見せてくれた。センターバックは今後、ワールドカップ(W杯)組の昌子源(鹿島)が復帰する可能性も含めてレギュラー争いは熾烈だが、起用のされ方を見る限り、森保監督の三浦への評価は低くないだろう。

■槙野智章(浦和/→後半16分OUT)=B

 不運な形での負傷交代となったが、吉田に次ぐリーダーシップを見せた。W杯を経験しており、チームを後ろからコーチングしていく役割も含めて不可欠な存在であることは間違いない。ピンチと言える場面はほとんどなかった。

■山中亮輔(横浜FM)=B

 代表デビュー戦で、しかも開始早々にゴールを奪うというのはなかなかできることではないこと。クロスの精度も高く、FKも含めて左利きの左サイドバックという魅力は十分に示すことができた。長友佑都(ガラタサライ)が離脱しているなか、ベネズエラ戦で先発した佐々木翔(広島)より序列で上に行ける可能性は示しただろう。もっとも、この相手では守備面での評価はし難い。攻守におけるバランスを求められるなかで、どこまで攻撃面の良さを出せるかは未知数だが、左サイドの新たな可能性としてインパクトを残すことには成功した。

<GK>
■権田修一(鳥栖)=B

 これほど一方的な展開となり、相手のシュートが来ないゲームは、ある意味GKにとっては難しいもの。そのなかでも確実なプレーで失点をゼロに抑えた。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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