堂安に続く“U-21世代アタッカー”は? ドバイ遠征総括、東京五輪へ競争激化の予感
U-21日本代表にU-19アジア選手権組も合流、前線のタレントが続々アピール
9月のアジア大会で活躍した選手たち、トゥーロン国際大会からの復帰組、そしてU-19アジア選手権出場組。これらの選手たちを融合した形で行われた今回のドバイ遠征ではウズベキスタン(2-2)、クウェート(5-0)、UAE(1-1)と3試合を戦い、1勝2分の準優勝に終わった。チームとしては少し残念な結果となったが、アピールに成功した選手が数多くいたことは明らかで、チームにとって実りある遠征になったことは間違いない。
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特に攻撃陣は今後、ポジション争いがより熾烈になることを予感させるパフォーマンスを見せた。
例えば、最前線の二人。トゥーロン以来の招集となった小川航基(ジュビロ磐田)は、3試合に出場して3ゴールをマーク。第3戦のUAE戦は後半に途中交代と不完全燃焼の出来となったが、昨年に負った怪我の影響で「本当に難しかった」と1年を振り返るなかで、復活の兆しとなる活躍を見せた。
また法政大の上田綺世は、改めて自身の価値を証明した。第2戦のクウェート戦でハットトリックの大活躍を見せると、第3戦のUAE戦では途中出場ながらチームに勝ち点をもたらす同点弾を奪取。今大会のMVPと得点王の個人2冠に輝くなど、ピッチで違いを表現した。個人としては「チームを勝たせられなかった」と結果に悔やむところもあったが、「海外遠征の経験を積んで、どういう環境でもサッカーをできるという幸せもある。自分がこういうふうに遠くUAEに来ても活躍できるということは自信になった」と手応えを得た様子。今回は招集されなかったが、アジア大会で活躍した前田大然(松本山雅FC)、怪我で辞退となったU-19組の田川亨介(サガン鳥栖)も含めて、最前線のポジション争いはさらに激しくなっていきそうだ。
一方、3-4-2-1の2列目にあたるシャドーの争いも混沌としている。今回の遠征では旗手怜央(順天堂大)がゴールを奪い、伊藤達哉(ハンブルガーSV)と久保建英(横浜F・マリノス)がアシストを記録。特に伊藤達と久保は第3戦でも途中出場ながらチャンスに絡むなど、自身の特長を発揮しながらゴールに迫るプレーを披露した。
伊藤達の良さはなんといってもドリブルだ。クラブチームとは違うポジションに苦労する場面も見られたが、試合をこなすごとに動きを改善。第3戦では巧みに間でボールを受けながら、ドリブルで相手をかわしてチャンスメイクを図ってあわやという場面を作り出した。もちろん「最後のシュート、パスのところまで行けていないのは次への課題」とまだまだ改善点はあるものの、パラグアイ遠征以来となった代表で確かな足跡を残している。
林 遼平
はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。