日本代表監督・森保一の右腕、横内昭展とは何者か? 熱き情熱家の“二人三脚”の物語
横浜FM戦後に感極まって絶句 千葉は「ヨコさんだったから…」と存在の大きさを主張
だが広島は諦めず、執念の攻撃で当時リーグ最少失点を誇っていた横浜FMを攻め立てる。アディショナルタイム、途中出場したMFフェリペ・シウバのクロスをFWアンデルソン・ロペス(現・FCソウル)が叩き込んで同点。5連勝中と絶好調の強豪を相手に引き分け、連敗を4で止めた。
勝てなかった。だが連敗を止めたことで、一つの責任を果たしたとも言える。ただ、横内監督の表情には安堵はなかった。
「これほどの選手の頑張りを、僕の持っていき方が悪くて、勝つことができなかった。練習から彼らは……」
声が、震えた。
「本当に……、よくやってくれた。勝てなかったのは、僕の(試合に向けての)準備が悪かったから。サポーターがあれだけたくさん来てくださって、後押しもしてくれたのに……」
絶句した。38秒間、彼は「すみません」の一言以外に、言葉を発することができなかった。横を向き、肩を震わせた。記者たちは誰も、言葉をかけることができなかった。
「ヨコさんだったから、(森保監督退任のショックを)リカバリーできて、勝ち点1につながった」
DF千葉和彦は沈痛な表情で語った。それは選手全員の気持ち。持ち前の明るさで雰囲気を盛り上げただけでなく、厳しい言葉でチームをピリッとさせ、具体的な指示で方向性を明快にさせた。