香川真司、なぜ”森保ジャパン”に呼ばれないのか? 識者が分析する3つの理由
香川は有効なオプションになり得るが…無理して招集する必要はない
ただ、こうしたメンバーの中に香川を入れることで、さらなる攻撃の循環を生み出すことはできる。香川の場合は1タッチの捌きとタメを作るプレー、タイミングを見たスペースへの飛び出しといった部分で、攻撃陣の「1+1」を「3」にも「4」にもできるセンスがあるからだ。そこは引いてくる相手や難しいシチュエーションになるほど発揮されるもので、これまでウルグアイを含めたW杯出場国から3試合で10得点しているとはいっても、公式戦では相手も日本を研究してストロングポイントを消そうとしてくる。アジアが相手でも一筋縄ではいかないはずで、香川が有効な攻撃オプションになり得ることは間違いない。
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9月、10月のパフォーマンスも踏まえて、「今回の戦いはこのメンバー選考がベストだと決めました」とメンバーがあまり変わらなかった理由を語った森保監督。「まだ我々のチームに情報を吸い上げ、招集していない選手もたくさんいるので、彼らが加わることも考えてやっていきたい」とも補足しており、その中の候補に香川が含まれている可能性は十分にある。豊富な経験があり、もしアジアカップで突然招集されても、スムーズにチームに入れることは強みだ。
ただし、やはりクラブで出場機会を得ないことにはアジアカップ招集も見送りになる可能性が高いことは否定できない。仮に冬の移籍市場でドルトムントを出るとなれば、アジアカップどころではなくなる。
現在ブンデスリーガのトップを走るドルトムントで状況が変わり、香川が多くの出場機会を得られるようなことが起きない限り、無理して招集する必要はないというのが筆者の見解だが、長いアジア予選を考えれば若手の勢いで立ち行かなくなるタイミングは必ずくる。香川自身も、現時点ではクラブでの立場を良くすることを優先的に考えているはずだ。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。