【データ分析/守備編】セーブ、失点、被シュートが物語る堅守 “表裏一体”で起きた現象
GKセーブ数がトップ10外の理由は? 失点を減らすための守備意識が見えた象徴的な試合
失点数の少なさを語る時、まず目が向くのは守護神の存在だろう。ゴールマウスを守っているのは韓国代表での圧倒的な実績を持つGKチョン・ソンリョンで、1対1の対応や至近距離からのシュートセーブにも抜群の冴えを見せる。しかし、セーブ数のデータ(※以下、データはJ1第31節終了時/データ分析会社InStat社)を見ると、チョン・ソンリョンはトップ10にランクインしていない。
理由は明確だ。彼が活躍していないわけではなく、そもそもピンチ自体を作られていないのだ。実際、被シュート数は209本(32節終了時/Jリーグ公式)で最少記録。つまり、川崎守備陣はもっともシュートを打たれていないチームである。ゆえにチョン・ソンリョンのセーブ数もそれほど多くなかったとも言える。その他の主な守備データを見ると、最終ラインでフル稼働し続けたDF谷口彰悟が、インターセプト数で8位、クリア数で5位に入っているぐらいだろうか。
ボールを保持しながら敵陣で攻め続け、奪われても素早く回収する。だから、相手にシュートも打たせない。セーブ数や失点数、被シュート数が少ないのは、「攻撃と守備が表裏一体」となっているがゆえに起きている現象なのである。
失点を減らすための守備意識の重要性は、今シーズンも様々な局面で徹底されていた。
象徴的な試合を一つ挙げるならば、それは今季の開幕戦となったジュビロ磐田戦だ。前半22分、川崎のDFエドゥアルドの不用意な対応から、相手MFアダイウトンに抜け出されてゴール前まで独走を許す場面があった。この絶望的なピンチをGKチョン・ソンリョンが冷静な出足で阻止。この大ピンチを凌いだ直後、川崎が先制点を挙げているのだが、後日、指揮官が称賛していたのは、その時の選手の守備への切り替えだった。