【データ分析/攻撃編】川崎、連覇の要因は? 驚異的な大島の数値、パス成功率で上位席巻
「中盤でボールを握り倒す」スタイルを実現 中村と家長がビッグチャンスを創出
パス成功率のデータを見ると、トップ10に川崎の選手が5人(大島、家長、DF車屋紳太郎、DF谷口彰悟、MF守田英正)も食い込んでおり、チームとして掲げているボールを失わないことを体現しているデータとも言える。
谷口や車屋といった最終ラインを主戦場とする選手たちもランクインしているのが特徴で、ボールを滞りなく循環させ、これによりいわゆる「中盤でボールを握り倒す」というスタイル生み出しやすくなる。ボールをじっくりと握りながらハーフコートマッチに持ち込む。そうやって守備組織の穴を探すのが、川崎の攻撃の定石となっている。
そこからのフィニッシュワークを担うのは、攻撃陣の仕事になる。ビッグチャンスクリエイトでは、トップ下の中村と右サイドを主戦場とする家長が、それぞれ1位(15回)と3位タイ(11回)にランクイン。そこにMF阿部浩之、小林を加えた前線4人の並びが川崎の「鉄板」だが、彼らはポジションにとらわれることなく、流動的に動きながら見事な呼吸で相手ゴールを攻略していく。
その狙いを示すように、ファイナルサードへのパス成功数も他を圧倒している。家長(1位:748本)、中村(2位:736本)、大島(3位:630本)の3人が上位を独占し、ベスト10にはサイドバックのエウシーニョ(8位:429本)や新人ボランチの守田(10位:421本)も名を連ねる。
特定のホットラインに頼った崩しを見せるのではなく、的を絞らせないパスワークから、複数の人数が関わりながら同じイメージで相手ゴールを攻略。その象徴が、第30節のヴィッセル神戸戦で決めた4点目だろう。
10月のJ1ベストゴールにも選出された大島の得点のフィニッシュワークまでにつないだパスは34本。圧巻のパスワークから、家長のヒールパスと小林とのワンツーを経て侵入し、美しく崩し切った。高い技術を駆使しながら、イメージを共有させて攻略するチームの攻撃を体現したゴールだったと言える。他にも、7-0で勝利した第27節北海道コンサドーレ札幌戦のように、7つの全員得点者が異なる試合など多彩な攻撃を繰り出せることも強みだ。