川崎「J1連覇」の3大要因 史上5チーム目の快挙導いた「堅守」と「王者の風格」

選手を突き動かした「もう一度、頂点に立ちたい」という思い

 そして3つ目の要因として挙げたいのが、昨季に優勝を手にしたことで純粋に「再び優勝したいという思いが強まったこと」だ。「一つタイトルを獲っただけで満足することはなかった」とはMF中村憲剛の言葉だが、昨季に経験した喜びや感動をもう一度経験したい。もう一度、多くのサポーターとあの瞬間に立ち会いたい――その思いが選手を前へと突き動かした。

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「やはりいろいろなプレッシャーがありましたけど、今年に関しては常々自分たちは優勝というものを頭に入れて、本当に勝ち点が離れたなかでも、そういったことを意識しながら戦えた。それが本当に優勝につながったと思います」(鬼木監督)

 誰もがもう一度、優勝を成し遂げようと努力を続けてきたからこそ、連覇という結果を手にしたのである。

 ただ、今回の優勝に昨季のような涙はなかった。もちろん、敗れたうえで優勝が決まったこともある。だが、その事実を含めてもっと自分たちに“伸びしろ”があることを理解しているからだ。

「シーズンの苦しさというのは感じていたし、それは去年とはまた別物だった。それを跳ね除けてここまでやってきたという自分たちの力は評価していいと思う。ただ、今日みたいに負けてしまう時だってある。そこはまだまだ詰めなければいけない“伸びしろ”の部分でもあると思います」(中村)

 連覇してなお上を見据える川崎は今、さらなる高みへの一歩を踏み出した。

(林 遼平 / Ryohei Hayashi)



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林 遼平

はやし・りょうへい/1987年、埼玉県生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と、憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

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