“ガラパゴス戦術”でなかった「3-4-2-1」 PSG、神戸、名古屋が同時採用で流行の予感?
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“ミシャ方式”はガラパゴスではなく先見の明だったか
なぜ名古屋がこのシステムになったかというと、神戸がアンドレス・イニエスタとルーカス・ポドルスキをハーフスペースに置いた3-4-2-1だったからだ。前半は神戸に支配された。マッチアップのズレとイニエスタ、ポドルスキの能力によって後手に回っていた。そこで後半は噛み合わせたら、逆に名古屋がゲームを支配する展開に変わっている。
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5レーンを埋めてしまえば、マッチアップのズレは起こらない。3日後のC大阪戦でも人選は違えど、同じ3-4-2-1。レーンを埋めてしまうと、C大阪は攻撃のアイデアを出せずに上手く攻略できなかった。
PSG、神戸、名古屋の3-4-2-1はミシャ方式の形の変化による優位性を狙ったものではなく、攻撃ではハーフスペースの有効活用、守備ではスペースを埋めてしまうことを主眼としている。CLとJ1で同時進行的に3-4-2-1という結論になっているのが面白かった。
最近は一部で、ガラケー復活の兆しがあるそうだ。一周回って新しいという感じなのだろうか。3-4-2-1もミシャ方式そのままではないにしても、ビルドアップ時の変化やハーフスペースの活用という点で共通点はある。ガラパゴスではなく、先見の明というべきなのだろう。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。