日本代表FW大迫がドイツで陥るジレンマ 指揮官からの信頼と“右サイド起用”の呪縛

2失点目を奪われた直後の“2枚代え”で無念の交代

 今季のブレーメンはブンデスリーガの開幕から好調を維持し、第8節終了時に5勝2分1敗で首位ドルトムントと勝ち点3差の3位につけていた。しかし、その順位とは裏腹に、今季1FCケルンから移籍加入を果たした大迫の表情は冴えなかった。風邪でベンチ外となった第5節ヘルタ・ベルリン戦(3-1)以外は、すべて先発出場をしていたにもかかわらずである。その理由は今のチームで、彼が最も望むポジション、役割でプレーできていないからだった。

「(コーフェルト)監督は僕が右でプレーすることが好きじゃないと思っているのを分かっているけど、それでも使ってくれるのは信頼されているということ。だから今は、個人的な結果とチームの結果を貪欲に求めたい。(ゴールを)狙いに行くところは行かないと。とにかく、相手ゴール前へ行く回数を増やしたいですね」

 チームは先述の第9節レバークーゼン戦で大敗。大迫はVAR判定も絡みながら今季2ゴール目を挙げたが、結果は伴わなかった。その悪しき結果を経てのマインツ戦だっただけに、チームも自らも本領を発揮できない状況にもどかしさを覚えるのも当然だった。

 後半6分、ジャン=フィリップ・グバミンが右サイドからカットインして強烈な左足シュートを叩き込み、マインツが追加点をマークした。そして同11分、ブレーメンのコーフェルト監督は最初の交代でフロリアン・カインツに代えてヨハネス・エッゲシュタイン、そして大迫に代えてクラウディオ・ピサーロの2枚代えを行った。大迫は無念の表情を浮かべながらも足早にタッチラインまで駆けてきて、チーム最年長40歳の大ベテランと手を合わせてベンチへ引き上げていった。

 その後、ブレーメンはそのピサーロのゴールで1点差に迫るも一歩届かずに1-2で敗戦し、今季初めての連敗を喫して順位を6位に落とした。

島崎英純

1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。

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