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栄光と挫折を味わった英雄の再会 ジェラードとピルロを巡るストーリー
CLでの栄光と挫折
その決勝戦の前半は、ピルロを軸にしたミランが試合を支配し、3-0の大差で折り返した。だが、後半に入ると、思いもよらぬ展開が待っていた。
その火付け役となったのが、ジェラードだ。後半序盤にヘディングをたたき込むと、両手を振り上げてチームメートと、サポーターを鼓舞。そのセレブレーションによって仲間の動きは良くなり、スタジアムに歓声が響き渡った。流れは一気にリバプールへとわた り、劇的な展開へ試合が動き始めたのだ。3点差を追いついたリバプールは、迎えたPK戦で競り勝ち、ビッグイヤーを掲げた。
この一戦は、リバプールサイドにとっては「イスタンブールの奇跡」として今も語り継がれる世紀の一戦だ。
一方で、引き立て役となったミランイレブンにとっては、忘れ去りたい過去だろう。ピルロはあの一戦を振り返り、こう口にした。
「あの時、サッカーを辞めようかと思った」
26歳の選手が引退を考えるほど残酷で、受け入れられないものだったのだ。
しかし、この物語には続編がある。2年後のCL決勝戦。ミランとリバプールは、再び頂点を決めるアテネの舞台で対峙(たいじ)した。その試合、ピルロがFKから先制点を演出し、2-1で勝利。目前 で逃した栄光を取り戻すリベンジを達成したのだった。