鹿島“ACL初制覇”の条件 現地取材した英記者が「最も重要」と断言したキーマンは?
ホームで先勝も「すべてがポジティブだったわけではない」
その他の選手を見ても、セルジーニョは今夏に鹿島に加入して以降、ACLの戦いで目を見張る活躍を見せ続けている。前線でコンビを組んだ鈴木優磨も、今大会最高と評されるペルセポリス守備陣を相手にハードワークし、ジャラール・ホセイニーたちとのバトルを楽しんでいるように見えた。
西大伍は常に活発的であり、土居は大岩監督の狙いとしたイランの最終ラインを引き伸ばし、歪ませるための役割を担い、トラブルを引き起こすために神出鬼没な飛び出しを見せていた。それは後半に他の選手にもそのスペースを有効活用させるための狙いであり、そのプランは最終的に実を結ぶことになった。
しかし鹿島がこの試合で見せたパフォーマンスは、すべてがポジティブなものであったわけではない。
安部裕葵はファーストタッチの質に欠けていた。インドネシアで戦ったU-19日本代表から今週チームに合流したばかりで、おそらく時差ボケも直っていなかったのだろう。フィジカル面では強靭なイラン人を常に上回っていたが、前半11分にシアマク・ネマチのシャツを引っ張った際にレッドカードが提示されなかったのはやや幸運だった(判定はイエローカード)。ゲーム序盤にもし退場処分となっていたら、試合展開は一変していたことだろう。ペルセポリスのブランコ・イバンコビッチ監督は、この試合を裁いた中国人のマー・ニン主審の安部に対する判定だけは間違っていたと確信していたに違いない。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。