イニエスタは「苦しい時ほどポジティブ」 神戸SD三浦淳寛が明かす“超一流”たる所以

イニエスタは「アジアナンバーワンクラブ」の目標を口にしながらポジティブにプレー

 ただ、一方で肝心のチーム成績はと言えば、一時は4位にまで上り詰めた順位も、30節終了時点で暫定12位。イニエスタの負傷による欠場も響き、チームは第24節から今季初の5連敗を喫し、ファン・マヌエル・リージョ監督の初陣となった第29節V・ファーレン長崎戦(1-1)では、イニエスタも後半14分から戦列復帰を果たすなかで引き分け。さらに直近の第30節川崎フロンターレ戦(3-5)でも2点をリードしながら逆転負けを喫するなど、7試合未勝利の状況にある。こうした現状はもちろん、戦力を考えれば納得のいく順位ではない。

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 だが、そうしたなかでもイニエスタは常にポジティブに現状に向き合っていると三浦SDは言う。そこにも彼の『一流』が垣間見える、と。

「アンドレスとは常にコミュニケーションを図っていますが、僕たちが目指す『アジアナンバーワンクラブ』という目標に対して、彼も同じようにその目標を明確に口にしながら、自分がやるべきことを整理して現状に向き合ってくれています。しかも、すごくポジティブに、です。

 どのチームも、どの選手も、上手くいかない時ほどネガティブに物事を考えがちというか。『あれが悪かった』『こんなことをしているからダメなんだ』と、何かのせいにして自分を正当化しようとしますが、アンドレスにはそれが一切ない。というより、どんな時も物事をネガティブに捉えることがなく、常に彼からは『ここをこうすれば良くなるんじゃないか』的な、ポジティブな発言が聞かれます。そうやって苦しい時ほど、ポジティブに前に進もうとする思考もまた、彼が一流と呼ばれる所以ではないでしょうか」

 J1リーグの戦いも佳境を迎え、いよいよ残り4試合となった。そのイニエスタに牽引される神戸は、この4試合をいかに戦い、どれだけの財産を蓄えて来季に向かうことができるのか。今季、クラブとして大幅なスタイル変換にチャレンジしたばかりだと考えても、そのことはこの先のチーム作りにおいて、重要な意味を持つことになるはずだ。

[PROFILE]
三浦淳寛/1974年7月24日生まれ、大分県出身。高校時代は名門・国見高で全国高校選手権を2度制覇し、1994年に横浜フリューゲルスに加入。1998年度の天皇杯優勝を経験し、東京ヴェルディ時代にはJリーグオールスターサッカーMIPに輝いた。無回転FKの名手として名を馳せ、2000年のシドニー五輪にオーバーエイジ枠で出場しベスト16進出に貢献した。A代表通算25試合1得点。2011年4月に現役を引退し、2018年からヴィッセル神戸のスポーツダイレクターを務める。

(高村美砂 / Misa Takamura)



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