日本の“弱点”を克服したU-19代表 技術やセンス以上に光った「プロ集団の経験値」

ゲームの流れを読んだ意思統一は試合を重ねるごとに成長

 その点、今回のU-19日本代表は橋岡、齊藤、安部あたりのリードがあったにせよ、チームとしてどうプレーするかの意思統一がスムーズにできていた。これはたまたまこの世代だけができたわけではなく、日本サッカーが成長した証だろう。

 才能で言えば久保建英、斉藤光毅が素晴らしい技術とセンスを発揮していた。ただ、インドネシア戦では彼らも含めて前線だけでハイプレスをかけに行って抜かれる場面が終盤に続出していた。もう時間もないので、インドネシアがロングボールを打ち込んでくるのは分かっている。だから、それさえもさせないようにしようと考えたのだろうが、突っ込んでいって外されるなら元も子もないわけだ。

 チーム内の経験値にも多少のばらつきはあった。しかし、全体的には試合の流れを読んで意思統一も上手くできていたし、それは試合を重ねるごとに良くなっていた。

 本来、サッカーに大人も子どももない。試合中の駆け引きや狡猾な試合運びなどは、やれる選手は子どもの時からやっている。ただ、サッカーが「習い事」となっている日本の場合、そこは弱い部分だった。今回のU-19代表は、完璧とは言えないまでも、日本の弱点を克服していたのは大きな収穫だと思う。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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