病との戦いさえなければ… “最高のチームプレーヤー”森﨑和幸が愛され続けた理由

「カズさんは“気が利く”んです。あんな人は、代表にもなかなかいない」(塩谷司)

 今は中東で奮闘している元日本代表の塩谷司(アル・アイン)は、「カズさんのことを語れば、1時間でも足りない」と言いながら言葉を紡いだ。

「一言で言えば、カズさんは“気が利く”んです。パスを受けて初めて、それが分かる。よほどサッカーが分かってなければ、カズさんの素晴らしさは外からでは分からない。技術も高いし、ポジションどりも“どうしてそこにいることができるの”って場所にいてくれる。あんな人は、代表にもなかなかいない」

 浅野拓磨(ハノーファー)はかつて「プロになって最も驚いたこと」という質問に対し、「カズさんのすごさです」と言い切った。

「トレーニングの時、自分がボールを受けるまでは(周りに)誰もいなかったのに、ターンしたその瞬間にカズさんがいて、ボールを奪われる。うわっ、ここにカズさんがいるんかって感覚。それは試合を見ている人には分かりづらい」

 誰もが、カズのことになると能弁になる。彼の良さを分かってほしいと言葉を紡ぐ。一方で「僕は分かっている」という意識も働いているようにも思える。「一緒にやらないと分からない」という言葉のなかに、「自分は分かっている」というプライドも見える。

 いったい、森﨑和幸とは何者なのか。どうして、周りの選手たちは嬉々として彼の素晴らしさを語るのか。

 それは、森﨑が本物のチームプレーヤーであるからだ。そして、こういうスタイルを持つ選手が、日本にはほとんどいないからだ。

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