“迷走”神戸、イニエスタ復帰も7戦未勝利 データで浮かぶ「ポドルスキ起用の明と暗」

周囲の選手にポジティブな力を与えている一方で、守備面での負担が増えているのも事実だ【写真:Football ZONE web】
周囲の選手にポジティブな力を与えている一方で、守備面での負担が増えているのも事実だ【写真:Football ZONE web】

理想を映し出した前半、現実を突きつけられた後半

 前半は世界トップレベルを知る2選手を擁した神戸にとって、まさに理想的な展開となった一方、後半は3失点を喫し、7戦未勝利という現実を突きつけられることになった。

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 指揮官も「いかにして体力をマネジメントするかの難しさが浮かび上がった。アンドレスも長く走り、三田もマークのズレが生じ始め、古橋を一列下げるなど、変化の必要を強いられた」と、求めるサッカーが90分を通して一貫することが困難であったことを明かしている。

 後半は4-4-2の2列目が横並びとなるシステムに変更し、ポドルスキが最前線、古橋が左サイドハーフに配置転換されたが、歯車が狂った神戸は猛攻を仕掛ける川崎の前になす術なく3失点を喫することになった。

 とりわけ一変したのはポドルスキだった。前半と比較して、試合から消える時間が増加。神戸攻撃陣のチャレンジ数を比較すると、FWウェリントンの26回、古橋の18回に対しポドルスキが4回と、ゲームに関与していない時間が圧倒的に長いことが数字に表れている。

 川崎に5失点目を許した後半31分のシーンが象徴的だった。ボールホルダーのMF中村憲剛に対し、2、3メートルの距離にいたポドルスキはゆっくりと歩き、MF大島僚太への縦パスを一切の圧力なしに許してしまう。そこから大島にボックス右へ絶妙なスルーパスを通され、DFエウシーニョの個人技からゴールを奪われた。ポドルスキが中村に対してパスコースを封じる動きを行えば、未然に防げた可能性のあるシーンであり、観る者の心象を悪くするワンプレーだったと言えるかもしれない。

 それでも、ポドルスキの力強いグラウンダーのパスからチームの2点目を奪った古橋は、ゴールシーンについて「ポドルスキは練習から強めのパスを入れてくる。そして、前を向いてシュートを打てと、そのたびに指摘してくれる」と、豪雨でぬかるんだピッチでも素早いボールに対し落ち着いたトラップができたのは、元ドイツ代表FWとの日々の練習の賜物であると振り返った。

 そういった部分でも、“ポドルスキ効果”が周囲の選手にポジティブな力を与えているのは間違いないが、守備面での負担増が、7戦未勝利という結果に少なからず影響を及ぼしているのも確かだろう。チームとしてポドルスキをどのように扱い、その能力を最大限に生かすためにどこまで割り切らせるのか。リージョ新体制となった神戸が今、最も力を注ぐべき事案なのかもしれない。

(FOOTBALL ZONE編集部・城福達也 / Tatsuya Jofuku)



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