久保建英がU-19日本代表で放つ「エースの風格」 衝撃FK&先制点演出に見えた偉才
先制点を演出した場面で放ったセンスと技術
そのゴールに加えて、北朝鮮戦では見事な左足のスルーパスでFW斉藤光毅(横浜FCユース)による先制点(前半8分)を演出。「あそこは斉藤選手の抜け出しが良くて、それが見えていたので」とゴールを決めた同じ2001年生まれのチームメイトを労った久保だが、3人のディフェンスを横にかわしながらタイミングを見極めて通したセンスと技術は見事だった。
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最終ラインのDF橋岡大樹(浦和レッズ)から右サイドのDF菅原由勢(名古屋グランパス)を経由して、ボランチのMF藤本寛也(東京ヴェルディ)にボールが出ると、藤本は左足のワンタッチで前方のMF郷家友太(ヴィッセル神戸)に通す。神戸でも主力として活躍する郷家が粘り強くキープして右ワイドにポジションを取っていた久保に預けると、右足のコントロールからインサイドに持ち出した。
郷家へのプレッシャーから反転して襲いかかってきた相手を左にかわすと、さらにカバーにきた相手のタックルを右足インサイドのタッチでかわして、中央に進出。その間に一瞬ディフェンスを外した斉藤を見逃さなかった。
目の前には右サイドから中央のカバーに来たDFキム・ヨンソクが構えて縦パスのコースを切っていたが、久保は相手の足が揃ったタイミングでやや左斜めの角度で縦パスを出し、斉藤も少し左に膨らむ動き出しで受け、そこから左足で決めている。
「あのプレーで少し自分に余裕ができたかな」と振り返る久保は、北朝鮮の激しいディフェンスに苦しむシーンがありながらも、効果的なドリブルやパスを織り交ぜ、攻撃に明確なアクセントを加えた。鮮やかな浮き球のスルーパスが惜しくもオフサイドになる場面もあったが、チームを勝利に導く幸先の良い活躍だった。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。