日本代表「パナマ戦出場15選手」を金田喜稔が4段階評価 南野の「シュート意識の高さ」絶賛
右サイドの伊東&室屋に苦言「すべて100%でやればいいものではない」
■伊東純也(柏/→後半36分OUT)=〇
左サイドからのクロスに対し、右サイドからダイアゴナルに中央へ入る動きを特に前半は行っていた。伊東のスピードならつま先で届くかなという期待を抱くプレーであるし、ゴール前に詰めていく動きには得点の匂いを感じさせた。ただ、右SBの室屋との縦関係はプレーの選択肢、バリエーションが少なかった。そしてドリブルもトップスピードでボールを扱いすぎるためミスが多く、サイドアタッカーとして対峙した相手を抜き去る仕事に課題を残したが、南野と同様、2試合連続ゴールという結果を残したのは大きく合格点としたい。
■青山敏弘(広島/→後半43分OUT)=○
チームとして、ボランチから効果的なビルドアップを行う形を作れず、青山にとっては難しい試合だったはずだ。そのなかで効果的な前線への縦パスなど、日本代表戦で久しぶりに持ち味を出せていたと思う。南野のゴールを導いたパスはもちろん、前線の4人に対して自らの視野の広さとパス精度の高さを生かして、効果的なボールを送っていた。
■三竿健斗(鹿島)=○
青山が攻撃参加した後方で、パナマの攻撃の芽を中盤で摘み取っていたという意味において、オフ・ザ・ボールでの動きが効いていた。目立つプレーではない。だが、相手にスピードに乗られたら嫌だな、簡単に前を向かれたら嫌だなという場面で、三竿が機転を利かせてピンチを未然に防いだことが、2試合連続の無失点につながった一因だったのは間違いない。
<DF>
■室屋成(FC東京)=△
スピードに乗ったプレーはできるが、周りの状況がよく見えていないという印象を持った。それは前半の決定的な場面で、シュートではなくクロスを選択したことや、後半に右サイドをえぐりながらクロスを味方に合わせられなかったシーンに表れていた。また伊東の評価でも指摘したが、ボールを持った際の「スピード」というのは、すべて100%でやればいいというものではない。しっかりとコントロールできる位置にボールを置いてこそ、スピードは生きるもの。フィジカル頼みのプレーから脱却すべきだ。
■冨安健洋(シント=トロイデン)=○
コンビを組んだ槙野が自由にやらせてくれた部分もあるが、持ち味である空中戦の強さを見せた。もう少しフィード能力を見てみたかったが、初代表の緊張感があるなかで相手のFWにもかなり積極的に行っていたし、攻撃時のCKでも競り合いながら惜しいシーンを作っていた。デビュー戦として、パナマ戦を選んだ森保監督の判断に結果で応えた。個人的には世界トップクラスのウルグアイ戦で、吉田との連携を見てみたい。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。