原点回帰で現状打破 古参メンバーたちがザックJAPANを蘇らせる
コートジボワールの敗戦のショックは、次に持ち越す必要はない。攻守に細かい修正は必要だが、ギリシャにはヤヤ・トゥーレもジェルビーニョも、そしてディディエ・ドログバもいない。個人能力とスバ抜けたフィジカルを有する選手がいないので、当たり前の話だが対策はまったく別のものになってくる。
ギリシャ戦に向け、アルベルト・ザッケロ-ニ監督が推し進めるべきことは、奇をてらった選手起用や新戦術を採用することではない。過去には、そうしたことを土壇場の重要な試合でトライした指揮官もいる。例えば2002年の日韓大会。当時のトルシエ監督は、決勝トーナメント1回戦のトルコ戦で三都主アレサンドロを突如FWに起用して敗れた。06年のドイツ大会では、ジーコ監督がクロアチア戦で、それまで信頼していた3バックから4バックに変更したが勝てなかった。いずれも好ましい結果は出ていないのだ。
「原点回帰」こそが、ギリシャ戦で講じるべき最も効果的な手段であろう。
それはスタメン、戦術を含めてすべてである。ギリシャは、日本がアジア予選を突破したシステムをそのまま生かせる対戦相手だ。鋭いカウンターなど、アジアとは質が異なるとはいえ、日本がすべきことは変わらない。強固な守りを崩すためには骨を折るだろうが、日本の得点パターンである最終ラインの背後への飛び出しや、3人目の動きなど、従来通りの策をつづけていけば必ずほころびが生じてくるはずだ。
長谷部誠は「やるべきことは、みんな分かっている」と言った。だが、若い選手は、こういう追い込まれた中でサッカーをした経験が乏しい。特別な状況下では、判断を鈍らせる可能性もある。だからこそ、アジアカップから戦ってきた古参メンバーの奮闘が必要になってくる。4年間、変わらずやり続けてきた戦術が浸透しているのは、ザッケローニ監督が寵愛した最終予選を戦ってきた従来のスタメン組である。1トップの前田遼一は不在だが、左MFに香川真司、トップ下に本田圭佑、右MFに岡崎慎司、ドイスボランチは遠藤保仁と長谷部、センタ-バックは今野泰幸と吉田麻也、左サイドバックに長友佑都、右サイドバックには内田篤人、GKは川島永嗣。このメンバーこそ、ザック戦術が最も染みついているメンバーと言えるだろう。
コートジボワール戦は主導権を握られ、個が強力ゆえにそれを止められる守備力が求められた。実際、ボール支配率は日本が43%と低く、かなり押し込まれてしまった。それゆえに、守備能力が高い山口蛍と長谷部が起用されたのは理にかなった采配だった。