名門移籍を決断した次代のアズーリ イタリアの将来を背負う2人の若手DFが歩む道
投資の違いが生んだ移籍金の差
若い才能に投資することは、当然ながらリスクもある。年俸が安く済む代わりに、その選手が大成しない場合が往々にしてあるからだ。一方で、実績を積んで実力を見定めた選手にそうしたリスクはない。しかしながら、若き実力者を獲得にするには多額の移籍金を払うことになる。そのリスクと投資のバランスが、ユベントスとルガーニ、ミランとロマニョーリのケースでは非常に対照的なものとして表れ た。
移籍初年度に置かれた立場もまた、違いは多々あるだろう。アンドレア・バルザーリ、レオナルド・ボヌッチ、ジョルジョ・キエッリーニといったイタリア代表DFたちがズラリと並ぶユベントスに加入したルガーニは、簡単には出場機会が得られない可能性が高い。もちろん、そうした実力者たちに囲まれていることで、チャンスを得た際に伸び伸びとプレーできる側面はあるかもしれない。しかし、マッシミリアーノ・アッレグリ監督とも初めて一緒に仕事をすることになる。若手といった立ち位置でスタートすることになるはずだ。
ところがロマニョーリの場合は、旧知のミハイロビッチ監督に対する信頼をすでに勝ち取っている。クラブから与えられた背番号13も、ミランなどで活躍した元 イタリア代表DFアレッサンドロ・ネスタ氏の後継者と期待を受けてのものだ。同じポジションのメンバーたちを見ても、ユベントスのようにトップクラスの選手たちが並んで隙間がないというほどでもない。シーズンの初めからチャンスに恵まれる可能性も高く、うまくいけばレギュラー定着も十分に考えられる。
明日のイタリアを背負うと言われる才能にあふれたDF2人は、対照的な状況下の中で国内のライバルであるユベントスとミランに加入した。先に頭角を現し、来年に控える欧州選手権や、その先のロシア・ワールドカップで活躍するような存在になるのはどちらになるのだろうか。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images