Jリーグのスタジアム規模は適正なのか? 最新データが紐解く…最大の鍵は「満員感」

磐田の集客率に結びついた元日本代表MF獲得とダービー復活、効果的なスタジアム活用法

 その要因として元日本代表MF中村俊輔の獲得と、清水エスパルスのJ1昇格に伴う静岡ダービーの復活を指摘しているが、もともと本拠地ヤマハスタジアムは収容人数1万5165人と決して大きなサイズではなく、それが高い集客率に結びついたと言える。そしてダービーなどの好カードでは、エコパスタジアム(収容人数5万889人)を3回使用するなど効果的に動員数を増やした。

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 2位は、昨季J1王者・川崎フロンターレの80.4%で、改修した等々力陸上競技場(収容人数2万6827人)には平均して2万2000人以上が観戦に訪れた計算になる。一番の理由は優勝争いに他ならないが、それ以外にも川崎はファンを楽しませる数々のイベントを企画。スタジアムのフードコートも充実しているため、“お祭り”的な感覚で週末のサッカーライフを堪能できる環境が高い集客率に結びついたと推測できる。

 以下、3位は柏レイソル(78.2%/収容人数1万5109人)、4位ベガルタ仙台(74.9%/収容人数1万9694人)、5位清水エスパルス(74.5%/収容人数2万248人)と続いている。

 一方、下位に目を向けると最下位がサンフレッチェ広島の28.1%だ。昨シーズンは残留争いに巻き込まれたことも観客減の一因だろうが、スタジアムへのアクセスが決して良いとは言えない。スタジアム自体は収容人数3万6894人とそれほど大きくないものの、陸上トラックがありスタンドとピッチの距離も遠いため、広島の現在の動員力から見ると「器が大きすぎる」印象は否めない(※レポートではデロイトのルール上、自治体公表の5万人をベースに集客率を計算しているが、Jリーグ公表値をベースに計算すると38.1%である)。

六川 亨

1957年、東京都生まれ。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年に退社後はCALCIO2002、プレミアシップマガジン、サッカーズ、浦和レッズマガジンなどを創刊して編集長を務めた。その傍らフリーの記者としても活動し、W杯や五輪などを取材しつつ、「サッカー戦術ルネッサンス」(アスペクト社)、「ストライカー特別講座」、「7人の外国人監督と191のメッセージ」(いずれも東邦出版)などを刊行。W杯はロシア大会を含め7回取材。現在は雑誌やウェブなど様々な媒体に寄稿している。

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