武藤という新発見 ハリルジャパン東アジア杯失望の中の光明に

代表デビュー2試合で2得点

 東アジアカップ最下位という失望に終わったハリルジャパンで、最大の光明と言える存在がMF武藤雄樹(浦和)だった。初戦の北朝鮮戦で初出場、初スタメン、初シュート、初ゴールのインパクト抜群のデビューを飾ると、最終戦の中国戦でも先制ゴール。自身は出場2試合で2ゴールと、結果を残した。
「自分のプレーを見せられて、手応えをつかめた。レッズで決めたようなゴールを代表でも決められた。今までやってきたことは間違いない。(代表で)通用したことが自信になった」
 自身の代名詞になりつつある、ワンタッチでのゴールで2点を決めた。オフ・ザ・ボールの動きに優れてマークを外す巧みさは浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督も高く評価。A代表経験者が並び立つ浦和のアタッカー陣の中でも群を抜いた。浦和でポジションを掴み、そのプレーで日本代表でゴールを決めた。
 一方で、謙虚な男は反省も忘れない。
「フィジカル面やもっとゴールを取れたのに取れなかった部分がある。内容の全部に満足はできない。代表は勝たないといけない。結果、1勝もできなかったのは悔しいし、力不足を感じている。日本のみなさんが見ている、結果をもっと意識しないといけない」
 世代別代表の招集経験はなく、流通経済大学時代の関東大学選抜Aが最高地点だった男が辿り着いた日本代表だった。しかし、常日頃から「自分より技術のある選手はたくさんいる。僕が走れなくなったら終わりだと思う」と、チームに対して最大限の献身を見せる姿勢は変わらない。12日から再開するJリーグに対しても、今度は浦和の一員として全力を尽くす構えだ。そして、その視線の先には今までに見えていなかった世界が見えている。
「代表に入って試合に出られた。自分の中で欲が強くなってきた。また選ばれたい、世界と戦うその場にいたい。だからまた選ばれるように結果を出したい。この4試合、チームは勝っていない。次の試合が大事、僕はもう切り替えている」
 手を抜かない全力プレーで周囲の心をつかんできた武藤。酷暑の中でのリーグ戦でもその姿勢は不変だ。リーグでのゴール数も現在9と、自身初となる二桁ゴールが間近に迫っている。まずはそのハードルを乗り越え、さらなるステップアップを目指していく。

【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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