【W杯詳細分析・ドイツ-ポルトガル】「コンパクト」は勝利の処方箋にあらず 「コンパクトなサッカー」と「コンパクトな状態で守備」することの違い

 一方ポルトガルは、エースのクリスチアーノ・ロナウドに期待が集まったが、ワールドカップで48本のシュートを放って2ゴールしか奪っていないというデータ通り、この日も不調に終わった。

 試合はドイツが前半12分にトーマス・ミュラーがPKを確実に決め、32分にマッツ・フンメルスがコーナーキックを高さのあるヘディングで叩き込む。ミュラーとの駆け引きでイライラを募らせたポルトガルのペペが37分にミュラーへの頭突きで一発退場になった時点で勝負があった。数的不利のポルトガルは前半のアディショナルタイムにミュラーに追加点を奪われ、後半は10人で3点を追う展開となった。

 FIFAランキング4位のポルトガルをここまで打ちのめしたのは過去の「相性」だけではない。前半の戦いぶりからその圧倒的強さを分析してみたい。

 まずは前半両チームの選手たちがプレーした平均位置を示したTactical Position(戦術的ポジション)を示したイラストを見てみよう。

ドイツ×ポルトガル

  左のドイツのポジションは両サイドバックが高い位置でプレーし、両センターバックがしっかり中を締めている。ゴールキーパーでさえもやや高くポジションを取っている。中盤とフォワードがバランスよく配置され全体的に「コンパクト」な状態に保たれているのが分かる。

 一方、ポルトガルはゴールキーパーとセンターバック、センターバックと両サイドバック、センターバックと中盤の守備の要というふうに、それぞれの距離が遠く、ビルドアップの最初の起点のセンターバックがどのポジションからも離れていて「間延び」した状態になってしまっている。

 

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