3戦未勝利で終われないハリルジャパン デビュー弾武藤が勝利の“寿司”をもたらす
仙台時代からサポーターの風習 武藤弾を寿司で祝福
東アジアカップの2戦を終え、1敗1分と勝利がないハリルジャパン。大会連覇への望みはすでに断たれたが、9日の中国戦は意地とプライドを掛けた戦いになる。代表初戦となった同杯北朝鮮戦で代表デビュー戦での初ゴールを決めたMF武藤雄樹(浦和)は「しっかりまた明日結果を出して、先につなげられるように頑張っていきたい」と決意。代表2ゴール目と勝利を見据えている。
本人も驚くようなサクセスストーリーを見せている。2011年に流通経済大から仙台に加入した武藤は、4シーズンで70試合6ゴール。それが今季に浦和へ加入すると、すでに9ゴールを挙げてチームの中心選手として君臨している。「去年の終わりに浦和からオファーが来たと言ったら、周りが誰も信じてくれなかった」という笑い話を披露したこともある男が、日本代表に上り詰めた。
「去年には、こういう風になっていることはイメージできていなかったですけど、浦和にくる時に『このチームに来たんだからしっかり活躍して上を目指す』と自分の中で思っていた。浦和で結果を出したことで、ここにつながっている。ここに入ったことで、代表に定着したいという思いも強く出てきた」
武藤のゴールには一風変わったエピソードがある。仙台時代の昨季、同僚GKのダニエル・ヴコヴィッチが武藤のゴールを祝福する意味で寿司の画像を武藤のツイッターにリプライすると、一連のやり取りの中で「寿司をもたらす」という言葉が有名になった。以来、武藤がゴールするとサポーターの間ではお祝いの意味を込めて寿司を食べる習慣が流行。今季に移籍加入した浦和サポーターの間でも、ゴールのたびに寿司を口にする祝勝会が流行している。今回の代表選出時には、武藤自身も夫人と寿司で祝ったという。武藤のゴールは寿司と密接に繋がっている。
第2戦の韓国戦で出番のなかった武藤にとって、中国戦は初戦からコンディションを整えて臨む試合になる。武藤自身も「今日練習していても体軽いなという思いはあった。いい練習が出来ましたし、明日の試合でいいプレーができるんじゃないかと思っています」と、手応えを得ている。
前日練習は、非公開で戦術練習が行われた。その内容を問われると「言えないから非公開にしてるんであって、なんて言っていいか分からないですけど」と苦笑いしたが、「前の選手は、特長のある選手だったり、個の能力高い選手が多いので、そういう部分は合わせられると思いますし、代表ってのは合わせるものだと思う。今日の練習の中でも、攻撃の部分では合わせていこうというような練習もしているので、そういう部分を見せれたらいいかなと思う」と、短い期間でもコンビネーションの構築は進んだ様子だ。
韓国戦は劣勢の中を引き分けに持ち込んだが、東アジアのライバルを相手に未勝利では終われない。現在、最下位に沈んでいる日本が意地とプライドを示すためにも、武藤は今大会2ゴール目でハリルジャパンに勝利と、サポーターと武藤家に寿司をもたらす。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images