香川真司はトップ下「3番手以下」 厳しい評価と創造性乏しきドルトムントの現実
盟主バイエルンを追随するチームには見えない
ファブレ監督はボルシア・メンヘングラードバッハを率いていた時代に、4-4-2を主戦システムとしていた。そして今回のフランクフルト戦で試した布陣によって、4-1-2-3、4-2-3-1、そして4-4-2のオプションをも携えたと言える。
ただ、それでも今季のドルトムントは危うい戦いを続けていて、その行く末には霧がかかっている。もとより、ドルトムント以上にチーム状況が芳しくないフランクフルトを相手にしてオープンな戦いを繰り広げたドルトムントは、とてもブンデスリーガ6連覇中の盟主バイエルン・ミュンヘンを追随するチームには見えない。
今のドルトムントには中盤でゲームを構築し、フィニッシュ能力を備えるアタッカーに決定的なパスを供給するプレーメーカーがいない。フランクフルト戦ではアルカセルがゴールを決めたが、もし彼がフィリップと同様に試合開始から最前線に配備されれば苦労は絶えないだろう。
アルカセルはかつてチームに在籍したピエール=エメリク・オーバメヤン(現アーセナル)やミシー・バチュアイ(現バレンシア)のように局面を切り裂いてカウンターゴールを突き刺すタイプではなく、ペナルティーエリア内でのボックスワークからフィニッシュへ持ち込むストライカーだ。すなわち彼もまた、中盤でタクトを振るうコンダクターの下支えがあってこそ能力を発揮できるタイプと思われる。
ファブレ監督の思惑は不明なままだ。ただ、フランクフルト戦で敵としてベンチ入りするも不出場に終わった長谷部誠は、ドルトムントの現況と照らし合わせて、香川の境遇をこのように評価した。
島崎英純
1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。