香川真司はトップ下「3番手以下」 厳しい評価と創造性乏しきドルトムントの現実
【欧州蹴球探訪|第7回】ファブレ新体制が目指すサッカーとベンチ外が続く香川
ドルトムントに降り立つと、日本人である私はかなりの確率で「シンジ・カガワ?」と声をかけられる。外見は似ても似つかないのだが、こちらが日本人だと分かると、相手は大抵同じセリフを口にする。ドルトムントは小さな街だから人々が集まるエリアが狭いこともあるが、アウェーの地でドルトムントが試合をする時でも現地の人々が同じ言葉を発するのだから驚いてしまう。それほどにドイツ国内において香川真司のネームバリューは高い。そして今、そんな香川が苦境に立たされている。
DFBポカール1回戦グロイター・フュルト戦(2-1)、ブンデスリーガ第1節RBライプツィヒ戦(4-1)、第2節ハノーファー戦(0-0)を終えて、香川のベンチ入りは1試合もなかった。今夏の移籍マーケットでは香川の去就に関して各種動向が伝えられたが、結局8月31日の移籍期限最終日を迎えても彼が他クラブへ移ることはなかった。少なくとも今冬に再び移籍マーケットが開くまでは、香川はドルトムントでのチーム内競争に打ち勝たねばならない。
しかし、今季から指揮を執るルシアン・ファブレ監督は含みをもたせたコメントで、今でも彼のチーム内での立場を明確にしていない。ドルトムントはリーガ、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)、DFBポカールの3タイトル獲得を目指していて、戦力をできるだけ保持したい考えがあるのは確かだ。しかし、現地時間14日に行われた第3節フランクフルト戦で実践したドルトムントの戦術、戦略を観る限り、香川の出場機会は今まで以上に遠のいているように感じる――。
ファブレ監督はこれまで、システムを4-1-2-3に定めてきた。正守護神はロマン・ビュルキ。4バックのセンターはアブドゥ・ディアロとマヌエル・アカンジが不動で、右にウカシュ・ピスチェク、左にマルセル・シュメルツァーが入る。そして中盤は今季新加入のベルギー代表MFアクセル・ヴィツェルがアンカーを務め、その前のインサイドハーフにフィジカル能力の高いマフムード・ダフードとトーマス・デラネイを起用して逆三角形のユニットを形成。そして3トップの頂点にマクシミリアン・フィリップ、右にマリウス・ヴォルフ、そして左にはチームの大黒柱であるマルコ・ロイスを登用してきた。
島崎英純
1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。