ハリルジャパンのDFリーダーに槙野はなれるのか? 日韓戦ドローにも修正に自信
「まだまだやれる自信はある」
武漢での日韓戦を終えて取材エリアに出てきたDF槙野智章(浦和)の声はすっかりかすれ切っていた。5日の東アジアカップ第2戦の韓国戦。槙野は初戦の北朝鮮戦に続いてセンターバックとしてフル出場した。最終ラインから味方に大きな声でコーチングし、叱咤激励した。その結果、声は完全に枯れてしまっていた。
初戦の北朝鮮戦は、前半から主導権を握りながらも、後半途中に出場した長身FWパク・ヒョンイルの高さを生かしたパワープレーに苦戦。1-2での敗戦で勝負を分けた2失点目はヘディングの競り合いで槙野の上から叩かれたものだった。
この日の韓国も、前線に身長196センチの巨漢FWキム・シンウクを擁していた。ゴールキックや相手GKからのフィードのターゲットとしてきた。その際は、主に槙野が対応。ファウルを犯す場面こそあったが、巨人に自由を与えないプレーで韓国の攻撃パターンを一つ、何とか遮断していた。「1戦目から修正できた部分は多々ある」槙野は守備の修正に手応えを浮かべていた。この長身FWへの対応には一定の満足感を浮かべていた。
「完成度が高く、本当に良いチームだった」こう振り返る韓国を相手に、ゲームの主導権は奪われた。しかし、浦和で同僚のGK西川周作、センターバックでコンビを組んだ森重真人(FC東京)と、2008年の北京五輪を共に戦った気心の知れたトリオが中心になって韓国の攻勢に何とか耐えた。森重のハンドによる、少しアンラッキーなPKによる1失点こそあったが、最終ラインが完全に決壊する場面はなかった。
「我慢強く戦えた部分はある。守備の時間が長い中で、なんとか攻撃につなげてゴールを奪うチャンスはあった。そこを決め切る力をつけたい」
バヒド・ハリルホジッチ監督が就任して以来、槙野は高い評価を受け、センターバックのレギュラーをつかんでいる。13年の前回大会を指揮したアルベルト・ザッケローニ監督の下では、攻撃力を生かしてサイドバックとして起用されていた。それだけに、守備面を評価されてセンターバックとして起用されることへの喜びもある。そして、DFの中心選手としての自覚も芽生え始めている。
「毎試合、選手が代わっていく中でも良くなってきている。自分たちがまだまだやれる自信はある。試合が終わった瞬間は、選手みんなの悔しい気持ちが表情からも見て取れた」
明るいキャラクターの持ち主で、チームのムードメーカーなのは間違いない。そこもハリルホジッチ監督から評価される部分だ。サービス精神旺盛なコメントが話題となる一方、サッカーに関しては非常に真摯でストイックな姿勢を見せるプレーヤーでもある。日本代表としての意地とプライドに懸けても、9日の中国戦は今大会初のクリーンシートでの勝利を目指すつもりだ。
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サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images