日本のW杯8強進出に必要な「対多様性」 森保監督の“継続路線”の先にある高い壁
日本の良さを出しながら、様々な状況に対応できるか
例えば、W杯のベルギー戦(2-3)では2-0とリードしたにもかかわらず、ベルギーの“空爆”を制御しきれなかった。ベルギーが高さとパワーという新たな武器を出してくると、日本には対抗策がなかったわけだ。W杯のラウンド16ではフランス、ベルギー、ブラジル、ドイツなど、ひと通りなんでも揃っている相手と対戦する可能性は高い。日本が多様性を持つにはまだ時間がかかるだろうから、足りない部分をどうするかがベスト8への大きな課題になる。
例えば、ベルギー戦に関してならば奪ったボールをキープし続けて相手を押し返し、ハイクロスを使わせない手があった。ただ、ロシアW杯のチームではそこまでのキープ力はなかったわけだ。仮にスペインがあの立場だったら、彼らはキープし続けただろう。ただ、均質型の最高峰とも言えるスペインにしても、ベスト8には進めなかったわけで、日本のベスト8進出の前にはかなり高い壁があると考えなくてはならない。
日本の良さを出しながら、様々な状況に対応できる力をつけていくしかない。まだ最初の一歩を踏み出したにすぎない。
(西部謙司 / Kenji Nishibe)
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西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。