真の強豪クラブへ プレミアリーグ2015-16展望【サウサンプトン編】
チームを支える堅守
引き抜きの対象となったのは選手だけではない。2014年にクラブ史上最高(当時)のプレミアリーグ8位の成績を残したマウリシオ・ポチェッティーノ監督は、その記録を置き土産 にトットナムへとステップアップを遂げた。後任に指名されたのはバレンシアなどで指揮を執った経験を持つロナルド・クーマン監督。ポチェッティーノの作り上げたパスサッカー主体のスタイルをベースに、前線からの積極的なプレスを戦術に落とし込み、チームをさらにブラッシュアップさせた。
チームの屋台骨となるのは強固なセンターラインだ。昨季で言えばシュナイデルランと強靱(きょうじん)なフィジカルを武器とするケニア代表MFヴィクター・ワニヤマがDFラインの前で相手の攻撃の芽を摘み、ジョゼ・フォンテとアルデルバイレルトというCBコンビと身長2メートルのGKフォースターが盤石の守備ブロックを形成。こうして王者チェルシーの32失点に次ぐ、リーグ2位の33失点という堅守を築い た。
チームの中心だったシュナイデルランの後釜と目されるMFクラーシは、フェイエノールト時代からクーマン監督の指導を受けてきた指揮官の秘蔵っ子だ。身長169センチと小柄だが、守備にも献身的で正確なパスとボールを運ぶ能力を備える。より激しいフィジカルコンタクトが求められるプレミアリーグの舞台での活躍は未知数だが、懸かる期待は大きい。負傷によって開幕に間に合うかは微妙だが、チームの鍵を握る存在となるはずだ。
昨季は3番手という印象が強かった日本代表DF吉田麻也は、主将フォンテとコンビを組むことが有力だ。定位置争いのライバルとなるコールカーは才能を高く評価されるが、まだ加入から1週間ほどしかたっておらず、チームでの経験や連係の面でも吉田が上 回っているからだ。