代表デビュー倉田の後悔 果たせなかったハリル監督との約束
約束は最終戦で
手応えと、後悔が同居する代表デビューになった。東アジアカップで日本代表に初選出された倉田秋(G大阪)は、5日の第2戦日韓戦でスタメン出場。左アタッカーとしてピッチに立ち、日本代表初出場を果たした。
G大阪の下部組織で育った生え抜きは、2007年にトップチームへと昇格した。常にタイトル争いに顔を出す強豪の中で、徐々に出場機会をつかんでいった。しかし、10年には期限付き移籍で千葉へ、J2でのプレーを経験した。翌年には同じ大阪のライバルである、C大阪へ再び期限付き移籍を経験している。試合出場を通じて成長し、12年にG大阪へ戻った。名門のJ2落ちも経験し、悔 しさも味わった。そして、昨季はG大阪の国内3冠制覇に大きく貢献。ついにつかんだ日本代表の座だった。
前半は特に韓国に主導権を握られる時間が長く、守備に追われた。持ち味を発揮できるようになったのは、後半の10分ごろから。試合開始からハイプレスに出た韓国の足が止まり始めた時間帯だった。インサイドハーフに入った山口蛍(C大阪)とのコンビネーションや、左サイドから中央に切り込んでいく動きでチームの攻撃にアクセントをつけた。「蛍とはセレッソで一緒にやっていたし、細かいところで崩すのが自分の持ち味。相手はついてこられなかった」と、日本が主導権を握ることができた時間帯のプレーには手応えがある。
一方で、「それをもっと繰り返さないと」と、時間の経過 と共に韓国にペースを奪い返された試合展開を悔やんだ。1-1の同点で迎えた後半だけに、先に日本が得点をできれば、勝ち点3を得るチャンスはグッと高まったからだ。
倉田には、ハリル監督との約束があった。
「常にゴールを取れと言われ、『僕が取ります!』と約束していたので、僕が1点取っていれば勝てた。取れなかったのが残念。ミーティングでも取らなあかんと言われていたので、その期待に応えられなくて悔しい」
ピッチ上で光るものは見せた。それだけに、結果で起用に応えられなかったのが何よりも悔しかった。「勝ちたかったというのが率直なところ」という言葉には、無念さがにじみ出ていた。
9日の大会最終戦となる中国戦で、ハリル監督の言う海外組も含めた「 真のA代表」への生き残りを懸ける。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images